2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における重力応答の分子機構:イネLAZY遺伝子の機能を中心にした研究
Project/Area Number |
19370022
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
飯野 盛利 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (50176054)
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Keywords | イネ / 運動 / シグナル伝達 / 重力応答 / 重力屈性 / 回旋運動 |
Research Abstract |
重力屈性の機能が低下したイネのlazy1突然変異体の原因遺伝子(LAZY1)をマップベースクローニングと相補性検定、およびRNA干渉(RNAi)を用いて同定した。その結果、本遺伝子は新規タンパク質(LAZY1)をコードし、ホモログが存在しない単独の遺伝子として機能していることが明らかになった。さらに、これらの分子遺伝学的知見とlazy1突然変異体の生理学的解析から、以下の点が明らかになった。(1)LAZY1は幼葉鞘の重力屈性において、重力シグナル受容とオーキシン不均等分配の間で働いている。(2)この重力屈性にはLAZY1を介するシグナル伝達系と、介さないシグナル伝達系が関与し、前者にのみオーキシンの不均等分布が関与している。(3)lazy1突然変異体の幼葉鞘は野生型品種に見られる回旋運動をまったく示さないので、LAZY1は幼葉鞘の回旋運動にも必須である。また、この回旋運動には重力シグナルが関与していることが示唆される。(4)LAZY1は、幼葉鞘の他に、葉鞘基部とラミナジョイントにも特異的に発現して、それらの組織に観測される重力屈性にも関与している。(5)LAZY1は根ではほとんど発現していない。またlazy1突然変異体の根は正常な重力屈性と回旋運動を示す。従って、LAZY1はイネの地上部の重力応答に特異的なシグナル伝達因子で、根の重力応答には関与していない。本研究ではこれらの成果をさらに発展させるため、シロイヌナズナのLAZY1様遺伝子の発現を抑えたRNAi形質転換体を作出し、本遺伝子がシロイヌナズナにおいても重力シグナル伝達に関与しているかを調べる研究に着手した。
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Research Products
(3 results)