2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19370026
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 正久 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 教授 (40130025)
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Keywords | 性決定 / 性分化 / 両生類 / 染色体マッピング / ステロイドホルモン / 性染色体の進化 / ミトコンドリアDNA / 性決定遺伝子の確立 |
Research Abstract |
ツチガエルの多くの遺伝子を単離して染色体マッピングと性決定時期における発現解析を行った。AR, SF1, Sox3が性染色体に存在し、これら3つの遺伝子は性染色体の非相同組み替え領域に存在すること、SF1, Sox3の発現はZ,W染色体間では差がないのに対し、W染色体のAR(W-AR)は発現しないがそれはW-AR遺伝子の転写調節領域に変異が起きている事、発現解析ではCYP19が雌化にまた、CYP19の転写にはSox3が関わること、更にAR,CYP17が雄化に深く関わることを見いだした。未分化性腺ではステロイド合成系酵素の活性があり、雌はエストロゲンを雄はテストステロンを多く合成する事を見いだした。多くの動物はステロイドホルモンで性が転換するが、性決定遺伝子は関与しない。 そこで、少なくともツチガエルの性決定はステロイドホルモンが主役であると提唱した。また、非相同組み替え領域に位置するW-ARは機能をもたず、Z-ARが性決定に大きな役割を担う可能性あることも見いだした。更に、ツチガエルの卵細胞質には雌化或は雄化因子の存在が予想されている。そこで、ツチガエル地方4集団のミトコンドリアDNAの塩基配列を決定した。XY型西日本、関東、及び東海集団のミトコンドリアDNAの塩基数は約17-kbpであるのに対し、ZW型新潟集団のそれは約21-kbpであった。しかし、現在の解析では雌雄化因子をコードする遺伝子は不明で、卵細胞質因子はミトコンドリアのみならずゲノムDNAも深く関わっていると思われた。また、脊椎動物の性決定時期は組織染色法で判断されていたが、基底膜を構成するラミニン蛋白を指標とすると、従来の時期よりもずっと早い時期に性が決定される事が分かった。また、生殖質Vasa蛋白の抗体を作製して生殖細胞の移動経路には性差がなく、生殖腺の性は生殖細胞の移動後に決まる事も示した。
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