2007 Fiscal Year Annual Research Report
汎熱帯海流散布植物の分子集団遺伝学的研究:長距離種子散布が種分化に与える影響
Project/Area Number |
19370032
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
梶田 忠 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80301117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 教授 (80114544)
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Keywords | 長距離散布 / 広域分布 / マングローブ / 種分化 / ブラジル |
Research Abstract |
全世界の熱帯・亜熱帯の海岸域に1種が一様に分布する汎熱帯海流散布植物について,複数の分類群の遺伝的分化のパターンを分子マーカーを用いて解析している。分類群横断的な解析を行うことにより,海流による頻繁な長距離種子散布が全球的な分布域の維持にどのように貢献しているかが明らかにできると期待される。本年度は,ナガミハマナタマメとRhizophora mangleについて,2種類の遺伝マーカーを用いた解析を行った。なお,この研究は,研究協力者である高山浩司氏(日本学術振興会特別研究員PD)の協力のもとに実施したものである。 1.葉緑体ハプロタイプの解析:Rhizophora mangleとナガミハマナタマメの集団サンプルについて,複数の葉緑体遺伝子領域の塩基配列を決定した。いずれの種においても,塩基配列データとサンプル数を既存のデータに大幅に追加した解析を実施した。ナガミハマナタマメにおける解析では,約8,000bpを用いた系統樹が得られ,汎熱帯域に分布するハプロタイプの存在などが明らかになった。Rinzophora mangleの解析では,新大陸の東西における明瞭な遺伝的分化と,それぞれの地域で近縁種との間に遺伝的交流があることが明らかになった。 2.マイクロサテライトマーカーの開発:Rhizophora mangleで14個の複合マイクロサテライトマーカーを開発した。近縁種5種と別属2種を用いた増幅テストにより,6つのプライマーはRhizophora属内で広く利用できることを確かめ,Conservation Genetics誌に発表した。 得られた6つのマーカーを用いて予備的な解析を行った結果,ブラジル以南と西アフリカの集団が共通した遺伝的組成を持ち,他の集団からは分化している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)