2007 Fiscal Year Annual Research Report
成熟過程における分泌系カーゴタンパク質のゲーティング・パーミッション機構の研究
Project/Area Number |
19370044
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和田 郁夫 Fukushima Medical University, 医学部, 教授 (40182969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初沢 清隆 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20256655)
橋本 仁志 公立大学法人福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50372826)
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Keywords | 小胞体 / フォールディング / 品質管理 / 糖鎖 / 1分子イメージング / 蛍光相関分光法 / 全反射顕微鏡 |
Research Abstract |
新しく作られたタンパク質はフォールディングが完了するまでは不安定な物性を持ち、凝縮しやすいために、その間は分子シャペロンが結合して不安定な部分をマスクすることで、その一時的な会合を介しか保護を受ける。細胞質とは異なり、分泌タンパク質の場合は、小胞体内腔の最大でも100nm程度の大変狭い管腔の中でこの作業が進む。分泌過程は基本的に細胞外への流れであるために、この空間では、細胞質よりも高い割合で新生分子は存在するはずであり、凝集体を形成する危険性が高い。凝集の頻度は分子間衝突の割合に比例するので、凝集する危険性を減らすには、単純拡散の抑制が有効なはずである。この詳細な解析を、全反射顕微鏡を用いて内腔可溶性のモデル分子の1分子像を可視化して、1分子トラッキングとそれらのエバネッセント場への初到達時間解析や、蛍光相関分光法を用いた1分子ダイナミクスの統計的解析などを行うことで、2個以上の糖鎖がある場合には、内腔膜表面への数十ミリ秒程度の結合が起こり、この抑制には、アクチンの重合化を必要とすることを見出した。糖鎖はほとんどの分泌タンパク質に存在することから、品質管理の基礎として機能している可能性が考えられる。そこで、細胞質側から、アクチン骨格を介して膜貫通型受容体による内腔分子の拡散抑制機構が存在するというモデルを提出した。この受容体は、小胞体に存在するレクチン分子の解析により、おそらく膜結合レクチンであるVIPLと思われる。
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