2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける性特異的ペプチドフェロモンの鋤鼻神経系での受容メカニズムの解明
Project/Area Number |
19370048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (00280925)
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Keywords | フェロモン / マウス / 鋤鼻器官 / 受容体 |
Research Abstract |
哺乳類のなかでもネズミやマウスなど齧歯類では、フェロモン物質が鋤鼻器官に作用することによって、性や異種の識別、異性生殖機能の状態の識別、性周期・成熟度・性行動のタイミング、攻撃行動などが制御されている。我々は、鋤鼻神経におけるc-Fosタンパク質の発現を活性化の指標として、フェロモン物質の探索をおこなったところ、オス涙から分泌されてメス鋤鼻器官に取り込まれて鋤鼻神経を発火させる新規の性特異的ペプチド(約7kDa)を見つけESP1と命名した。ESP1と類似の構造をもつメス特異的ペプチドESP36の同定にも成功した。本研究では、オス特異的ESP1、メス特異的ESP36、それぞれを認識する鋤鼻器官のV2R型受容体を決定する。本年度は、ESP1の受容体の絞り込みをおこなった。鋤鼻神経には、約60種類のV2R型鋤鼻受容体と約180種類のV1R型鋤鼻受容体がそれぞれ基底層側と鋤鼻内腔側に発現している。現在までに、涙腺から分泌されるオス特異的フェロモンESP1が、V2R型受容体を発現する鋤鼻神経のいくつかにおいてc-Fosの発現誘導を引き起こすことを見出している。そこで、まず、約60種類のV2Rのなかから、c-Fosと二重染色されるV2R遺伝子のタイプを特定したところ、V2Rp5というV2R遺伝子が候補としてあがった。V2Rp5を認識する抗体を作製し、鋤鼻器官での発現を解析したところ、鋤鼻器官片側あたり5-10個の鋤鼻神経での発現が確認できた。現在、V2Rp5のESP1に対する応答解析をおこなっている。一方、ESPペプチドファミリーのゲノムおよび発現解析の成果をCurrent Biologyに発表した。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Sex- and strain-specific expression and vomeronasal activity of mouse ESP family peptides2007
Author(s)
Kimoto, H., Sato, K., Nodari, F., Haga, S., Holy, T.E., and Touhara, K.
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Journal Title
Current Biology 17
Pages: 1879-1884
Peer Reviewed