2007 Fiscal Year Annual Research Report
microRNA制御システムによる生殖細胞・体細胞分化確立機構
Project/Area Number |
19370054
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 邦夫 Kobe University, 理学研究科, 准教授 (40252415)
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Keywords | 機能性RNA / 発生・分化 / 生殖細胞 / 翻訳制御 / ポリA鎖 |
Research Abstract |
本研究は、ゼブラフィッシュ生殖細胞・体細胞の分化確立過程に働くmiRNA翻訳制御システムをモデル解析系として、miRNAの生化学的な作用機序、および、miRNAによる制御システムの生理的役割について理解を目指すものである。 生殖細胞形成に働くnanos1およびTDRD7mRNAは体細胞でmiR-430による発現抑制を受ける。これに対し、生殖細胞にもmiR-430が存在しているが、何らかの機構でmiR-430による抑制が標的mRNA特異的にキャンセルされる。今年度、ゼブラフィッシュ受精卵へのレポーターmRNAインジェクション実験系を用い、RNA結合蛋白質であるDAZL蛋白質を強制発現すると、体細胞においてもnanos1やTDRD7mRNAの翻訳が活性化されることを明らかにするとともに、DAZL蛋白質がレポーターmRNAや内在性TDRD7mRNAの安定化を促進することを示した。このような効果はRNA結合活性を欠く変異体DAZL蛋白質や、DAZLモチーフを欠失した変異体DAZL蛋白質の場合には観察されない。また、予備的な解析から、DAZL蛋白質が、これらのmRNAのポリA鎖を伸長化することが示唆された。これらの結果から、生殖細胞では、DAZL蛋白質がポリA鎖伸長化を介してmiR-430によるnanos1やTDRD7の発現抑制をキャンセルしている可能性が示唆された。
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