2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19370056
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
大隅 隆 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 教授 (50111787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 智雄 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (90553991)
|
Keywords | 脂肪滴 / MLDP / ペリリピン / ノックアウトマウス / 心臓 / 脂質代謝 / 心筋症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
(1) MLDPノックアウト(KO)マウスの解析:MLDO-KOマウスの解析を進めた。電子顕微鏡観察の結果、KOマウスでは心臓の脂肪滴が完全に消失していた。また心臓のトリグリセリド(TG)と脂肪酸の蓄積量はKOマウスで顕著に低下していた。初代培養細胞を用いた解析により、KOマウスの心筋細胞では脂肪酸の酸化活性が亢進していることが示された。MLDPは心臓の脂肪滴の維持に必須であり、KOマウスはTGを蓄積できないために、それを積極的に代謝する方向に適応していると考えられる。KOマウスでは心臓への糖取込みも増大し、その結果、耐糖能が顕著に改善されていた。また、糖尿病を発症させたマウスでは心臓の脂肪蓄積が増大し、それにより心臓の機能障害が惹起されるが、KOマウスでは糖尿病を発生させても心臓の脂肪蓄積は低く抑えられ、活性酸素の発生や心臓のコラーゲン発現などの生化学的異常も顕著に緩和されていた。MLDPの機能を抑制することにより、脂肪蓄積を原因とする心筋症の症状を緩和できる可能性がある。 (2) 脂肪分解時の脂肪滴の動態の解析:脂肪細胞をカテコールアミン刺激すると、脂肪分解の促進と同時に多数の微小脂肪滴が出現する。これらの微小脂肪滴には、脂肪滴コートタンパク質ペリリピンとリパーゼHSLが結合していた。阻害剤を用いた実験により、微小脂肪滴は脂肪酸の再エステル化により形成され、再エステル化によって生じたTGを効率よく加水分解する場であることが示唆された。一方、もうひとつのリパーゼATGLとその活性化タンパク質CGI-58は、脂肪分解時には脂肪滴には結合せず、小胞体などの膜画分に存在しており、再エステル化によって生じたTGをその場で直ちに分解する役割をもつと考えられる。 (3) PATタンパク質の機能特異性の解析:ステロイド産生細胞MLTC-1では、ペリリピンはホルモン刺激に応答してリン酸化されず、脂肪細胞とは異なる機構で作用していることが示唆された。
|