2008 Fiscal Year Annual Research Report
気体分子を生理的エフェクターとする金属含有センサータンパク質の構造と機能
Project/Area Number |
19370059
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
青野 重利 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (60183729)
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Keywords | センサータンパク質 / ヘムタンパク質 / 走化性制御系 |
Research Abstract |
本研究では、気体分子を生理的なエフェクター分子とする金属含有型センサータンパク質の構造と機能の解明を目的とし研究を行なった。HemATは、プロトヘムをセンサーの本体として利用している酸素センサータンパク質であり、バクテリア、古細菌の酸素に対する走化性制御系におけるシグナルトランスデューサーとして機能している。本研究では、高度好塩性古細菌Halobacterium salinarumおよび光合成細菌Rhodosprirum rubrum由来のHemATを単離精製し、共鳴ラマン分光法によりヘム周辺構造の詳細な解析を行なった。その結果、これらHemATホモログに結合した酸素と周辺アミノ酸残基との間で形成される水素結合ネットワークは、ホモログ毎に異なったパターンを示すことが分かった。得られた結果を、先に詳細な性質を解明した枯草菌由来のHemATの場合と比較検討することにより、HemATホモログにおける選択的酸素センシング機構の解明を行なった。さらに本研究では、枯草菌由来のHemAT中のセンサードメインと、大腸菌中に含まれるシグナルトランスデューサーTsrのシグナリングドメインを融合したキメラタンパク質を作成し、その性質を詳細に検討した。HemATによる酸素センシング、ならびに酸素をセンシングした後の分子内シグナル伝達反応の分子機構解明を試みた。調製したキメラタンパク質、CheAタンパク質およびCheWタンパク質より構成されるin vitroアッセイ系を用い、CheAタンパク質のリン酸化反応を指標として調製したキメラタンパク質の活性を観測した結果、ヘムに酸素が結合した場合にのみ、CheAのリン酸反応が進行することが分かった。
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