2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光標識アミノ酸の部位特異的導入によるタンパク質構造変化のFRET解析
Project/Area Number |
19370063
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
芳坂 貴弘 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (30263619)
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Keywords | 蛋白質 / 非天然アミノ酸 / バイオテクノロジー / プレテオーム / 生物物理 |
Research Abstract |
モデルタンパク質としてマルトース結合タンパク質を使用し,まず4塩基コドンCGGGを15ケ所のチロシン部位に導入した遺伝子を作製した。これらの変異遺伝子のmRNAを,蛍光標識アミノ酸BODIPY FL-アミノフェニルアラニンを結合させ4塩基のアンチコドンを持つtRNAとともに,大腸菌由来無細胞翻訳系へ加え,蛍光標識タンパク質の合成を行なった。遺伝子のC末端に付加しておいたHisTagを利用して精製した後,マルトースの添加による蛍光スペクトル変化を測定したところ,Tyr210とTyr242に導入した場合には,マルトースの結合に伴って蛍光強度が大きく増加することが見い出された。これはマルトース非存在下ではBODIPYFLが近傍のトリプトファンにより消光されているが,マル1トースの結合による構造変化によってトリプトファンの位置が変化して,消光が起こらなくなったためだと考えられた。続いて,4塩基コドンを用いてTyr210部位にBODIPY558を導入しつつ,終止コドンUAGを用いてN末端部分にBODIPYFLを導入した二重蛍光標識タンパク質を合成した。その蛍光スペクトル変化を測定したところ,マルトースの結合を2つの蛍光強度比の変化をして計測できることが確認された。これは,BODIPYFLからBODIPY558への蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が起きるとともに,Tyr210部位でのBODIPY558の蛍光消光の変化が起こり,その結果,蛍光強度比が大きく変化したと考えられた。 また,蛍光標識されたリン酸化タンパク質を合成するために,終止コドンUAGを用いてリン酸化チロシン,4塩基コドンを用いて蛍光標識アミノ酸を導入することを試みた。しかしリン酸化チロシンの導入効率は低かったことから,tRNA配列の改良およびmRNAの周辺配列の改変によりその改善を試みたが,大きく改善するには至らなかった。
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