2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質が主導する膜形態変化の分子シミュレーション研究
Project/Area Number |
19370069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60304086)
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Keywords | ベシクル融合 / インフルエンザ / 粗視化モデル / SNARE |
Research Abstract |
初年度の今年は、蛋白質が主導する膜形態変化のシミュレーションを実現するための、道具(粗視化シミュレーションモデル)作りを進めた。 膜融合を主導するSNAREやインフルエンザヘマグルチニンの構造変化は、かなりの大規模であり、通常の分子動力学シミュレーションでは現時点で到底不可能である。そこで、アミノ酸を一つのビーズで表す粗視化モデルによる構造変化シミュレーションを行う。基本となるのは、我々の研究室で岡崎らが開発した多谷モデルであるが、特にヘマグルチニンの構造変化に適用するためには拡張が必要であった。分子全体の構造変化を、いくつかのヒンジ運動などに分解し、その各々について多谷構造をもつようなモデルを考案し、準備計算を行った。技術的に少しの課題は残っているが、概ね準備は整った。 脂質二重膜の粗視化シミュレーションモデルとして、MarrinkモデルとBrownらのモデルと両方の実装を進めている。前者は相互作用点を、全原子から1/4程度に間引いたもの、後者は1/8程度に間引いたものといえる。またMarrinkモデルには、溶媒分子が(粗視化されて)陽に含まれているが、Brownらのモデルでは溶媒は陽に含まれていない。ターゲットとする膜形態変化に応じて、両方のモデルが必要と考えている。蛋白質と脂質分子との相互作用については、疎水粒子同士の単純な引力と一般的な近距離の斥力項を用いている。蛋白質-脂質複合系の粗視化モデルシミュレーションが実現するまでにはもう少し時間が掛かる。
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Research Products
(12 results)