2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質が主導する膜形態変化の分子シミュレーション研究
Project/Area Number |
19370069
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60304086)
|
Keywords | ベシクル融合 / インフルエンザ / 粗視化モデル / SNARE |
Research Abstract |
1) 脂質膜の粗視化モデルのテストシミュレーション:Brownらの粗視化脂質膜シミュレーションモデルをコード化し、2重膜の基礎的物性のテスト計算を行った。Brownらが論文で報告しているものと概ね同じ物性が観察できた。しかし、膜の曲げ弾性が大きく、ベシクルを実現するには想定していた以上の脂質分子を必要とすることが明らかになった。 2) 蛋白質-脂質膜間相互作用の粗視化モデルの構築:排除体積項の他に、脂質分子の疎水的尾部と蛋白質の膜貫通領域との間に疎水性相互作用に起因する引力を設けた。Brownらの脂質膜の粗視化モデルにこれを組み込んでテストシミュレーションを行ったところ、脂質分子が不適切にフリップしてしまう現象が発生した。種々解析を行って調べた結果、フリップの原因は、Brownらのモデルのもつ引力相互作用が物理的に不自然な点を含んでいることが原因だと結論した。別の粗視化モデルに移行することにした。 3) 被膜ウイルスの糖蛋白質の構造変化シミュレーション:われわれが提案した粗視化蛋白質モデルである多谷モデルを用いて、被膜ウイルスが宿主に感染する際に主要な役割をする糖タンパク質の構造変化シミュレーションを行った。ここでは実験的に構造情報が精度よく得られている水泡性ヘルペスの糖蛋白質3量体を例にとってシミュレーションを行った。これまで融合前構造から融合後構造までの変化は、3量体が一旦解離してから構造変化し再集合すると考えられてきたが、シミュレーションは一旦解離することなく構造変化が完了することが可能であることを示唆している。
|
Research Products
(21 results)