2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質が主導する膜形態変化の分子シミュレーション研究
Project/Area Number |
19370069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60304086)
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Keywords | ベシクル融合 / インフルエンザ / 粗視化モデル / SNARE |
Research Abstract |
細胞膜はさまざまな脂質成分と膜蛋白質を含む複合系であり、膜融合、膜分裂、Lipid raft形成等、生命活動に必須の多様な形態変化を起こす。本研究では、シミュレーションによって、vesicle形成、2成分vesicleにおけるlipid raft形成、それに及ぼす膜蛋白質の影響を分析した。また2成分脂質vesicleのbudding過程を観察した。 シミュレーション研究において、通常の全原子モデルが適用できる時空間スケールは、膜の形態変化のスケールよりもはるかに小さい。そこで、粗視化分子モデルがよく利用される。本研究では、まず幾つかの粗視化生体膜モデルを検討し準備的シミュレーションを行った結果、野口モデルを採用することにした。蛋白質は従来から開発してきた1アミノ酸を1個の粒子とする郷モデルを用いた。さらに、新たに考案したモデルでは、複数成分の脂質からなる系を容易に記述することが出来る。このモデルによりlipid raft形成、vesicleのbuddingシミュレーションを行った。脂質2成分間の分離度がある程度以上強いときには、2成分脂質のみでlipid raftが自発的に形成した。分離度が弱いために2成分脂質のみではlipid raftが形成しない場合にも、膜貫通蛋白質を加えると、膜蛋白質-脂質間の疎水性相互作用によってlipid raftを形成し得ることがわかった。膜貫通型でない膜蛋白質ではその効果は弱かった。脂質2成分間の分離度が非常に強いときには、2成分脂質vesicleは自発的にbuddingした。膜融合の際に指摘されているように、buddingが起こる際にも細胞膜が破れる現象(lysis)が観測された。これはlysisを伴ったbudding経路が存在する可能性を示唆している。
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Research Products
(24 results)