2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異的ヒストン修飾を持つクロマチンの構造と動態の解明
Project/Area Number |
19370076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Keywords | ヒストン / クロマチン / 翻訳後修飾 / アセチル化 / モノクローナル抗体 / メチル化 / 遺伝子発現 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本研究は、ChIPとプロテオミクスを用いた生化学的方法、及び、蛍光標識抗体を用いた細胞生物学的方法により、特異的な修飾をもつヒストンが濃縮されたクロマチンの構造と動態を明らかにすることを目的としている。具体的には、昨年度の研究に引き続き、修飾ヒストンモノクローナル抗体を用いてChIPを行い、特異的修飾を持つヒストンを含むクロマチンを回収し、プロテオミクス解析によりそれぞれのクロマチンと結合する蛋白質の同定を試みた。ヒストンH3の9番目のLysがアセチル化されたもの(H3K9ac)とトリメチル化されたもの(H3K9me3)をそれぞれ特異的に認識するモノクローナル抗体、非特異的マウスIgG及び抗RNAポリメラーゼII抗体を固定したビーズを用いて、クロマチン免疫沈降を行い、回収されたクロマチン蛋白質をSDS-PAGEで分離後、質量分析により解析した。その結果、ヒストンH1やFACTなどクロマチンに比較的多量に存在する蛋白質は、H3K9acとH3K9me3抗体ビーズで濃縮された。また、転写や修復の制御に関わるPMLはH3K9acビーズに、ヘテロクロマチン蛋白質HP1はH3K9me3ビーズにそれぞれ回収された。一方、mRNAのポリアデニル化に関わる因子(PABPC4など)はRNAポリメラーゼIIビーズに回収されたほか、いくつかの転写因子はH3K9acビーズとRNAポリメラーゼIIビーズの両方への結合が見られた。これらの結果から、ChIPにより得られた蛋白質を質量分析で同定することで、特異的ヒストン修飾を持つクロマチンの構成成分を網羅的に解析できることが明らかになった。来年度は、この結果を検証するとともにそのダイナミクスについて解析する予定である。
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