2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞遊走、細胞分裂時の極性形成におけるコフィリン制御機構とその役割
Project/Area Number |
19370079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Keywords | アクチン細胞骨格 / シグナル伝達 / LIMキナーゼ / コフィリン / Slingshot / 細胞極性 / 細胞運動 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格の再構築は、細胞の運動、分裂、極性形成や、神経系構築、免疫応答、癌細胞転移などにおいて重要な役割を果たしている。アクチン脱重合因子であるコフィリンはLIMキナーゼ(LIMK)によりリン酸化、不活性化され、Slingshotによる脱リン酸化により活性化される。本研究では、細胞遊走時の極性(前後軸)形成過程や、細胞分裂時の分裂軸(分裂面)決定過程におけるコフィリン活性の時空間的制御機構を解明し、コフィリンを介したアクチン骨格の時空間的な制御経路が細胞遊走、分裂時の極性形成において果たす役割を解明することを目的として研究を行い、以下の結果を得た。1)細胞極性形成因子として知られるPar1がSlingshotのSer-978をリン酸化し、14-3-3との結合を促進し、活性を負に制御していることを見出した。さらに、Par1のノックダウンは、Slingshotの不活性型や非リン酸化型の過剰発現と同様に、アクチンの重合を誘導することを見出した。以上の結果から、Par1はSlingshotのアクチン結合活性、束化活性を阻害することが示唆された。2)Dronpa・アクチンの蛍光の減衰速度を測定することによって、細胞内アクチンモノマー量の測定に成功し、刺激依存的なアクチンモノマー量の変化を測定した。3)腹水肝癌細胞の浸潤アッセイにおいて、LIMキナーゼとSlingshotの両者の活性が必要であることを明らかにした。4)細胞分裂時におけるLIMキナーゼの活性化が、表層アクチンと星状体微小管の安定化ならびに紡錘体の安定な配置に必要であることを明らかにした。
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