2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19370086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 秀郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60378528)
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Keywords | ゴルジ体ストレス / 小胞輸送 / ストレス応答 / 転写制御 / 小胞体ストレス / 細胞小器官 / 糖鎖 / ゴルジ体 |
Research Abstract |
ゴルジ体は分泌タンパク質の修飾や選別輸送を行う細胞小器官であるが、細胞中の存在量は厳密に制御されており、常に需要に見合う量が存在するように調節されている。しかしながら、その分子機構についてはこれまでまったく解析されてこなかった。そこで本研究では、この制御機構(ゴルジ体ストレス応答機構)の分子メカニズムを解明することを目的としている。先行研究において、ゴルジ体ストレスによって発現が誘導される哺乳類の遺伝子をマイクロアレイ解析によって検索した結果、ゴルジ体での糖鎖修飾酵素やゴルジ体の構造タンパク質、膜合成酵素、小胞輸送因子、ユビキチン関連因子、アポトーシス関連因子などの発現が誘導されることがわかった。今年度は、これらの標的遺伝子のプロモーター領域をクローニングし、プロモーターの解析を行うことによって、転写を制御しているエンハンサー配列を同定することを試みた。その結果、糖鎖合成酵素や構造タンパク質、ユビキチン関連因子の転写誘導を共通に制御しているエンハンサー配列GASEを同定することができた。膜合成酵素の発現誘導は、既知のエンハンサー配列であるSREと新規のエンハンサー配列MREによって制御されていることがわかったが、小胞輸送因子遺伝子のプロモーター上にはGASEやSRE、MRE様の配列がないことから、更に別のエンハンサー配列によって制御されていると考えられる。また、出芽酵母のゴルジ体ストレス応答についても解析を開始した。マイクロアレイ解析によって発現誘導を受ける遺伝子を検索したところ、小胞輸送因子の遺伝子が多数同定された。現在、これらの遺伝子のエンハンサー配列を同定しようとしている。今後は、エンハンサー配列に結合する哺乳類・酵母の転写制御因子を単離するとともに、遺伝学の手法の容易な酵母細胞を活用することによってゴルジの状況を監視しているセンサー分子を単離し、ゴルジ体ストレス応答機構の基本構造を解明しようと考えている。これらの成果を通じて、疾患の診断・予防・治療に役立つ知見を得ることを期待している。
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Research Products
(9 results)