2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19370090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲村 春和 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90079690)
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Keywords | 中脳後脳境界部 / 中脳視蓋 / 小脳 / Fgf8 / Ras-ERK / Sprouty2 / エレクトロポレーション |
Research Abstract |
Fgf8は中脳後脳境界部(峡部)で発現しており、前の方に中脳視蓋を、後の方に小脳を誘導する。強いFgf8シグナルによりRas-ERK経路が活性化すると小脳が分化することが明らかとなっていたが、ERKの活性をよく見ると、小脳が分化する領域では、かなり早い発生段階で活性が抑えられている。そこで、ERKがずっと活性化された場合、はたして小脳が分化するのかということを、Fgf8bとSprouty2の活性を抑制するドミナントネガティブ型Sprouty2(DN-Sprouty2)のエレクトロポレーションによる強制発現により調べた。中脳胞にFgf8bの強制発現を行うとERKの活性化が起こるが、エレクトロポレーション15時間後にはその活性が落ち始め、中脳胞の分化マーカー、構造ともに小脳の特性を示すようになる。Fgf8bとDN-Sprouty2を強制発現すると、18時間後でもERKの活性はあがっている0中脳胞ではOtx2, Gbx2の発現が混在しているがやがてOtx2だけの発現になり、構造的にも視蓋として分化した。即ち運命転換は起こらない。小脳の分化にはERKがいつたんは活性化され、その後抑えられる必要があるかを見るために、テトラサイクリンでその発現をオフにできるベクターにDN-Sprouty2入れ、Fgf8bと一緒にエレクトロポレーションし、その5.5時間後にテトラサイクリンによりDN-Sprouty2の発現を止めた。その結果、中脳胞ではOtx2の発現が抑制され、後脳特異的なGbx2の発現が誘導され、形態的にも小脳が形成された。 本研究により、Ras-ERKシグナルなどの強いシグナルはその活性化と負の制御因子による抑制が非常に重要であることが明らかとなった。即ち、負の制御因子によるシグナル量の調節が正常な発生に非常に重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)