2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚パターン形成におけるWntシグナル促進因子Tsh3の機能解析
Project/Area Number |
19370097
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹井 芳樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞分化・器官発生研究グループ, グループディレクター (20283616)
|
Keywords | Tsh3 / Wnt / β-catenin / 体軸形成 / Znフィンガー / 転写制御 / 胚発生 / アフリカツメガエル |
Research Abstract |
脊椎動物胚の背腹軸決定は初期胚のパターン形成で重要な役割を果たす。代表研究者らは最近、アフリカツメガエルの系を用いて、核内タンパクTsh3(Teashirt-related 3;Znフィンガー因子)がこの体軸極性を制御する必須因子であることを見いだした。Tsh3の機能阻害では、背側体軸の形成が著しく阻害され、腹側化した胚が発生する。本研究では、この因子の初期胚における機能と制御機序を明らかにした。機能亢進及び機能阻害実験からWntシグナルを細胞内で活性化することが明らかになった。Luciferaseアッセイから、Tsh3はβ-cateninによる核内での標的遺伝子の発現活性化を促進することも判明した。タンパクレベルの解析から、Tsh3はβ-cateninに結合し、直接あるいは間接的にその活性を正に制御することがその機序であることも示唆された。さらにTsh3はTcf3とも結合をすることが示され、β-catenin・Tcf3複合体の安定化あるいは活性化を介して、Wntシグナル下流での転写制御を強化することが考えられる。Tsh3のWntシグナル促進活性で興昧深いのは、それ自身の強制発現だけではごく弱いWnt様活性のみが認められるだけだが、弱いWntシグナルを共存させると、強いシグナル強化が認められる点である。体軸形成での表現系と考え合わせると、Tsh3はsperm entryによって誘導された背側での弱いWntシグナル活性をブーストして、明確な体軸形成につなげる増幅系に関与している可能性が高い。また、Tsh3とは別のZnフィンガー因子が、アクチビンによる中胚葉誘導を分負に制御していることも発見し、p53の機能制御を介した新たな分子機序を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)