2007 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類脳の発達加齢に関する比較生理学的研究:ツパイから類人猿まで
Project/Area Number |
19370100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 高生 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (40346036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 基冶 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (10027500)
清水 慶子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90135616)
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Keywords | 霊長類 / 発達加齢 / 脳 / 機能分子 / 性 / βアミロイド / ステロイド / MRI |
Research Abstract |
エストロゲンは神経保護作用を有する。閉経を境に性腺からのエストロゲン分泌量低下にともなって中枢神経系でどのような変化が生じはじめ、加齢とともに疾患に至るのかを明らかにするため、ヒト同様の内分泌および高次脳機能を有するマカクサルを対象に、女性の更年期にあたる閉経前後および老齢のサルについて海馬と前頭前野においてエストロゲン受容体ERβおよびP450アロマターゼ(エストロゲン合成酵素)の発現を調べた。また、末梢性エストロゲンの枯渇の影響を調べるため、閉経を迎えていない成熟期の個体から卵巣を摘出し、ERβおよびP450アロマターゼの発現を比較した。閉経の判断は、定期的に末梢血を採血し、血中性ホルモンの量を測定し、量と変動リズムを元に行った。以下に述べる結果は、海馬においても前頭前野においても共通していた。ERβ発現は、卵巣摘出群では、閉経前と変化がなかったのに対し、閉経周辺期および閉経後には上昇していた。したがって、ERβ発現は末梢由来のエストロゲン量によって直接制御されているわけではないことがわかった。P450アロマターゼの脳内発現は卵巣摘出個体で高く、閉経前、閉経後の個体では低かった。卵巣摘出群では脳内の局所エストロゲン合成量が増し、末梢性エストロゲンの枯渇を代償しているために、ERβ発現量が正常な閉経前個体と差がなかったと考えられる。それに対し、閉経周辺期以降の個体では脳内のエストロゲン量が減少し、それを代償するためにERβの発現量が増大していることが示唆される。
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Research Products
(1 results)