2007 Fiscal Year Annual Research Report
発汗閾値および代謝閾値からみた温熱環境適応能の個体差とその影響要因の解明
Project/Area Number |
19370103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 享史 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 真太郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90002279)
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Keywords | 環境適応能 / 体温調節 / 温熱環境 / 個人差 / 発汗 / 代謝 |
Research Abstract |
本研究は、寒冷時の代謝亢進の身体深部体温閾値および暑熱時の発汗開始の深部体温閾値からみた温熱環境適応能に影響を及ぼす要因について、血管機能、自律神経機能および生活習慣、生活環境要因から検討し、耐寒性、耐暑性の個体差を評価すること目的とした。本年度は成人男性12名(21.3±1.7歳)を対象に、暑熱曝露中の発汗開始時の体温(体温閾値)と生活習慣、持久的運動能力および血管柔軟性の関係について実験的に検証した。方法:(1)下肢温浴実験:被験者は室温25℃に設定した人工気候室内で十分な椅座位安静を保った後、水温42℃に設定した浴槽に下腿部を浸漬し30分間保持した。このときの発汗量、直腸温、皮膚温、皮膚血流量、酸素摂取量、心電図、血圧を測定し、発汗開始時の状態を評価した。(2)血管機能検査:血管内皮機能と血管硬化度を指標として行った。血管内皮機能は、前腕部反応性充血時の前腕部血流量を測定し、その変化量から評価した。血管の硬化度の指標として、指先から加速度脈波を測定し、APGIで評価した。(3)持久的運動能力検査:自転車エルゴメーターによる漸増負荷運動を実施し、疲憊時の酸素摂取量(VO2max)を指標とした。(4)その他:生活習慣・生活時間のアンケート調査、日常活動量・実生活空間の温湿度の測定を行った。結果:VO2maxと日常活動量、APGI、発汗開始時の平均皮膚温の間で正の相関が、日常活動量と下肢温浴曝露終了時の大腿部発汗量との間で負の相関が示された。これらの結果は、日常活動量が多い人ほど血管の柔軟性が向上し、その結果暑熱負荷時の皮膚血管拡張反応の増大および皮膚血流の増加をもたらしたことを示しており、生活習慣、特に運動習慣が発汗によらない熱放散能力を高める可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)