2008 Fiscal Year Annual Research Report
発汗閾値および代謝閾値からみた温熱環境適応能の個体差とその影響要因の解明
Project/Area Number |
19370103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 享史 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 真太郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90002279)
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Keywords | 環境適応能 / 体温調節 / 温熱環境 / 個人差 / 発汗 / 代謝 / 血管機能 / 交差適応 |
Research Abstract |
本研究は、寒冷時の代謝亢進の体温閾値および暑熱時の発汗開始の体温閾値からみた温熱環境適応能に影響を及ぼす要因について、血管機能、自律神経機能および生活習慣、生活環境要因から検討し、耐寒性、耐暑性の個体差を評価すること目的とした。昨年度は冬季の暑熱暴露実験を実施し、血管柔軟性が発汗によらない非蒸発性熱放散と関連する結果を得た。本年度は、夏季に昨年冬季と同じプロトコルで水温42℃に設定した浴槽への下肢温浴実験、反応性充血時の血流量および加速度脈波からみた血管機能検査、持久的運動能力検査、生活習慣調査(食物摂取頻度、活動量、実生活空間の温熱環境測定)を行い、夏季における発汗開始体温閾値の個体差の検討を行った。夏季実験の結果、血管柔軟性の指標である加速度脈波指数と発汗開始時の皮膚血流量との間に有意な相関関係が認められた。また、持久的運動能力の指標である最大酸素摂取量と発汗開始時の皮膚温および加速度脈波指数との間にも有意な相関関係が認められた。さらに日常の活動量と発汗開始時における平均皮膚温との間にも有意な相関関係が得られた。これらの結果は、昨年度得られた冬季での結果と同様に、生活習慣、特に運動習慣が発汗によらない熱放散能力を高める可能性が示唆するものであった。また、寒冷曝露時の代謝亢進開始時の体温(代謝亢進体温閾値)とその個人差の評価、ならびに代謝亢進体温閾値に影響を及ぼす要因を検討するために、健康な成人男性10名を対象に、冬季に寒冷曝露実験、血管機能検査、持久的運動能力試験、生活習慣・環境調査を実施した。寒冷曝露実験は、室温約28℃の人工気候室にて十分に安静後、90分間で約5℃まで室温を低下させた時の直腸温、皮膚温、皮膚血流量、酸素摂取量、心電図、血圧を測定し、代謝亢進時の状態を評価した。データは現在解析中である。
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