2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝因子と環境因子からアプローチする動脈硬化の生理的多型性の解明
Project/Area Number |
19370104
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前田 隆浩 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40284674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 憲一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30039656)
青柳 潔 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80295071)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30295068)
山崎 浩則 長崎大学, 保健・医療推進センター, 准教授 (40346953)
草野 洋介 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 教授 (70325637)
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Keywords | ホモシステイ / アディポネクチン / 動脈硬化 / 遺伝子多型 / メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素 / 葉酸 / 離島 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
長崎県には55の有人離島があり、立地条件などにより本土とは違ったライフスタイルが定着している。平成17年〜18年の萌芽研究(課題番号:17657084)によって、独立した動脈硬化の危険因子であるホモシステイン(Hcy)の血中濃度が、本土住民に比べ離島住民で有意に高いことを証明した。平成20年度は、これらの結果を発展させ、 Hcyやアディポネクチン(Ad)の地域差を遺伝子多型や食習慣からアプローチした。具体的には、 Hcyに影響を与えるメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子多型の解析と長期の葉酸摂取量を反映する赤血球中葉酸の測定、そしてAd血中濃度に影響を与えるAd遺伝子多型を解析した。さらに、甲状腺機能正常群における甲状腺機能と動脈硬化との関連を検討した。 平成20年度は、新たに696名の研究協力者からデータおよびサンプルを収集した。MTHFR遺伝子多型やAd遺伝子多型の頻度は、本土住民と離島住民で有意差を認めなかった。434名(男性91名、女性343名)の赤血球中葉酸は、843.7±290.5nmol/lと米国の報告よりも高く、日本人は比較的葉酸を多量に摂取している可能性が示唆された。643名の甲状腺機能(TSH,freeT4)を測定したところ、9名(1.3%)に潜在性甲状腺機能亢進症、58名(8.1%)に潜在性甲状腺機能低下症を認めた。甲状腺機能正常群において、甲状腺機能と動脈硬化の指標である頸動脈内中膜複合体厚(CIMT)の関連を解析したところ、年齢、性別、収縮期血圧、HDLコレステロール、 HbAlcといった動脈硬化のリスクファクターを標準化しても、 freeT4とCIMTに有意な負の相関を認め、 logTSHとCIMTに有意な正の相関を認めた。これらの事は、甲状腺機能正常低値は、独立した動脈硬化危険因子である可能性を示唆しているものと考えられた。
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Research Products
(8 results)