2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝因子と環境因子からアプローチする動脈硬化の生理的多型性の解明
Project/Area Number |
19370104
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前田 隆浩 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40284674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 憲一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30039656)
青柳 潔 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80295071)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30295068)
山崎 浩則 長崎大学, 保健・医療推進センター, 准教授 (40346953)
草野 洋介 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 教授 (70325637)
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Keywords | ホモシステイン / 離島 / 動脈硬化 / メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素 / アディポネクチン / ヒストン脱アセチル化酵素 / 遺伝子多型 / 葉酸 |
Research Abstract |
平成21年度は離島住民635名より臨床データと血液サンプルを得た。それまでに収集したサンプルと合わせた2,725検体について、ホモシステイン(1,282人)と葉酸(591人)の血中濃度を測定し、動脈硬化との関連が報告されているメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子(677C>T)、アディポネクチン(Ad)遺伝子(276G>T)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC4)遺伝子(G>A)について多型解析を行った。 小離島205名と大離島2,520名の比較では、小離島で年齢と男性の比率が有意に高かった。遺伝子多型のマイナーアレル頻度は、MTHFR遺伝子0.34、Ad遺伝子0.27、HDAC4遺伝子0.10であった。年齢と性別で調整した血中ホモシステイン濃度(Hcy)は、小離島9.4(95%信頼区間8.5-10.2)μmol/L、大離島11.2(11.0-11.5)μmol/Lと有意に大離島で高く、血漿葉酸濃度(FA)は、小離島8.6(7.9-9.3)ng/ml、大離島6.8(6.3-7.2)ng/mlと逆に小離島で高かった。HcyとMTHFR遺伝子多型とは強く関連していた。 Hcyは食習慣と深く関連しており、葉酸の摂取によってHcyが低下することが知られている。以前、我々は大離島に比べ小離島でHcyが有意に高いという解析結果を報告したが、今回の調査結果から考慮すると、時期によって葉酸の摂取量が違い、その結果、小離島のHcyが変動している可能性が示唆された。今後は季節性も考慮した研究を進める必要がある。一方、解析した遺伝子多型に地域差は認められなかった。動脈硬化の進展には遺伝因子と環境因子が関与するが、遺伝因子が均一で生活習慣の違う研究フィールドの確立は重要であり、多面的にアプローチする研究手法によって動脈硬化の生理的多型性の解明と進展予防への貢献が期待される。
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Research Products
(7 results)