2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハクサイ根こぶ病抵抗性の分子遺伝学的解析と育種への応用
Project/Area Number |
19380008
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
松元 哲 National Agricultural Research Organization, 野菜茶業研究所・野菜ゲノム研究チーム, 上席研究員 (00355629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 勝徳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所野菜育種研究チーム, 主任研究員 (60355625)
平井 正志 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (50343405)
久保 中央 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60347440)
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Keywords | 根こぶ病 / 抵抗性遺伝子 / ハクサイ / DNAマーカー / 遺伝子単離 |
Research Abstract |
本研究では、感染力が多様な根こぶ病菌への抵抗性の解明を目的として、複数のハクサイ根こぶ病抵抗性遺伝子の単離と発現解析を行う。平成19年度は特にCrr1及びCrr3遺伝子単離を主目的とする。 1.Crr1抵抗性遺伝子の単離 これまで根こぶ病遺伝子座Crr1は、2つのマーカー間の約180kbの間であることを明らかにしてきた。そこでさらにその位置を特定するためにBACクローンの末端配列を根こぶ病抵抗性と罹病性系統間で比較し、2個のマーカーを新たに作成した。F2集団の中から、作成したマーカー間で組換えが生じているものを選抜し、抵抗性検定によりそれぞれの個体について抵抗性遺伝子の有無を調べた。その結果、Crr1は新たに見出したマーカーと既存のものとの間約8kbに座乗すると推定された。抵抗性と罹病性系統のこの領域の塩基配列を比較すると、複数の箇所で挿入・欠失や塩基の置換が見出された。ORFを検索した結果、2つの遺伝子の存在が示唆され、ブラスト検索を行うといずれもシロイヌナズナの防御機構に関与する遺伝子と一部の配列で高い相同性が見出された。2つの遺伝子配列はともに抵抗性と罹病性系統では配列が異なった。以上の結果から抵抗性遺伝子はこれら2つのいずれかあるいは双方であると考えられた。 2.Crr3抵抗性遺伝子の単離 NCBIおよびBrassica rapa Genome Projectのハクサイドラフト配列を基に、これまでに開発した連鎖マーカーよりもさらにCrr3近傍に位置するものを新規に7つ作製した。F2分析から、2つのマーカー間約13kbにCrr3が座乗することが明らかとなり、この領域の抵抗性と罹病性系統の塩基配列を決定した。その結果、4つのORFsが予測され、そのうち1つがTIR-NB-LRRに属しており、これがCrr3候補遺伝子と考えられた。本研究で明らかにしたCrr3近傍の約13kbの配列とシロイヌナズナの第3染色体とのホモロジーはなく、Crr3候補遺伝子のホモログもまたシロイヌナズナには存在しなかった。このことから、この候補遺伝子はゲノムの再構成の際にシロイヌナズナで失われたか、ハクサイで新たに獲得されたということが考えられた。
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