2009 Fiscal Year Annual Research Report
成熟期のダイズ子実への窒素供給を目指した根粒着生誘導技術の開発
Project/Area Number |
19380010
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
飯嶋 盛雄 Kinki University, 農学部, 教授 (60252277)
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Keywords | 環境調和型農林水産 / 土壌圏現象 / 生理学 / 農業工学 |
Research Abstract |
今年度の研究では、これまでに試験を実施した滋賀県立大学実験圃場(彦根)と近畿大学実験圃場(奈良)に加えて、奈良県桜井市農家圃場(桜井)においても亀裂施肥試験を開始した。これまでの検討から、硬い圃場条件下での収量の改善効果が高いことを認めているため,彦根圃場では,不耕起条件下での亀裂施肥の効果も併せて検証した。また、施肥資材として肥効調節型肥料やリン酸,カリ肥料の投入も検討した。さらに奈良ではポットによる基礎試験も実施した.連携研究者の大門(大阪府立大学)と泉(滋賀県立大学)と研究打ち合わせを実施し、大学院生の柴田(滋賀県立大学)と鈴木(名古屋大学)、研究補助者である近畿大学学部学生12名(4年生7名,3年生5名)とともに研究を実施した。桜井市の農家圃場については、桜井市農協の中谷氏と上内氏に,また彦根では芝原技師に圃場管理をしていただいた。その主要な結果は以下のとおりである.まず,土壌深層に投与する資材として,窒素肥料はむしろマイナスの効果がある場合が多いことを認めた.リン酸とカリ肥料については必ずしも効果があるわけではなく,単に根粒菌資材と炭を投入した実験区で収量増効果が期待できる場合が多かった.今年度の気象条件では,供試した3品種とも不耕起区では亀裂施肥の効果はみられなかった.最後に,彦根と桜井圃場においてウレイド態窒素生産速度を経時的に調査したところ,亀裂施肥後3~4週間程度はいずれも高い生産速度を認めたことから,根粒による窒素固定能力を栽培技術により制御できることは間違いないことを認めたが,施肥後6~8週間程度たてばむしろ対照区を下回る結果を共通して得た.すなわち促進された根粒活動が,ダイズの成育後半ではむしろ寄生的な影響を及ぼしていることが,これまでの成果からほぼ確定された.そこで来年度の試験では,寄生的な影響を低下させることを目指す予定である.
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