2009 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分変動条件に対するイネの適応反応に関わる形質の同定
Project/Area Number |
19380011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山内 章 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 義明 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (20377790)
小川 敦史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30315600)
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Keywords | イネ / 可塑性 / 乾燥ストレス / キャッサバ / コムギ / 準同質遺伝子系統 / 染色体断片置換系統 / 根 |
Research Abstract |
1.根系可塑性の機能的役割の実証 日本晴/カサラス染色体断片置換系統群において、乾燥ストレス条件下で可塑性を発揮する系統として選抜した50番と、乾燥-嫌気条件間を変動するストレス条件下で可塑性を発揮する系統として選抜した47番は、根系の発揮する可塑性によって養水分吸収、光合成、乾物生産が促進されることを定量的に示した。また、土壌水分によって発揮されるこの可塑性は、土壌養分との間に相互作用を示し、養分ストレス条件下では、可塑性の能力は十分に発揮されないことが明らかとなった。 2.準同質遺伝子系統の表現型評価ならびに遺伝子型解析 これまでに、上記の有望系統47番ならびに50番に日本晴を戻し交雑し、そのF1種子を人工気象室にて育成したF2(BC1F2)世代の各個体について、水ストレスに対する反応性を評価するとともに、分子マーカーによる各個体の遺伝子型の決定を進め、このデータをもとに、系統47番と50番の準同質遺伝子系統化をさらに進めた。 3.他の遺伝資源を対象にした圃場試験による有望系統の選抜 国際イネ研究所等において所有している遺伝資源(IR 64準同質遺伝子系統群、Oryza SNP panel)について、土壌水分ストレスに対する反応を評価し、同様に、根系の発育的可塑性が重要な役割を果たしていることを示した。 4.他作物種の土壌水分ストレスに対する反応評価 キャッサバの乾燥ストレス耐性にとって、不定期な降雨による土壌水分を効率的に利用するための根系構造、すなわち水平方向への広がりを維持する不定根の伸長能力とそれらの分枝能力(可塑性)が重要であることを見いだした。また、コムギについても過湿を含む土壌水分ストレス条件下での生産における根系の役割に関する調査を進め、とくに過湿条件下での節根発生能力ならびにそれらの通気組織形成量能力が耐湿性の鍵であることを明らかにした。
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Research Products
(12 results)