2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ生育初期の湿害発生時におけるタンパク質群による制御機構解明
Project/Area Number |
19380015
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小松 節子 National Agricultural Research Organization, 作物研究所大豆生理研究チーム, チーム長 (90355751)
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Keywords | ダイズ / 湿害 / プロテオーム |
Research Abstract |
ダイズ生育初期における湿害発生機構を、未知の湿害発生機構の存在も視野に入れて、タンパク質レベルから包括的に解析し、タンパク質問相互作用解析により湿害発生ネットワークを明らかにする。本年度は、細胞壁に対する湿害の影響を解析すると同時に、冠水処理早期におけるタンパク質群の発現レベルの変動およびリン酸化タンパク質群のリン酸化レベルの変動を解析する。 1、CyDye蛍光色素を用いた二次元電気泳動解析により検出された12時間の冠水処理により顕著に発現変動したタンパク質スポット17個のうち7個が増加、10個が減少であった。これらを同定したところ解糖に関わるタンパク質の増加、また二次代謝に関わるタンパク質が減少しており、冠水後早期において既にこれらの代謝系が制御を受けていることが示唆された。2、Pro-Qダイアモンド染色によりリン酸化タンパク質スポットを検出し、12時間の冠水処理により顕著にリン酸化レベルの変動していたタンパク質スポット16個を検出した。これらのうち3個がリン酸化レベルの上昇、13個が減少であった。質量分析計による同定の結果、病害・防御に関わるタンパク質のリン酸化、またタンパク質合成やタンパク質の修復に関わるタンパク質の脱リン酸化が冠水ストレスにより起こり、これらの機能がタンパク質リン酸化を介して制御されていることが示唆された。 冠水処理12時間後の早期において解糖、二次代謝がタンパク質の発現レベルで調節されており、さらに病害・防御反応、タンパク質合成およびタンパク質の修復がタンパク質リン酸化を介して制御されることが示唆された。一方、細胞壁タンパク質のプロテオーム解析により、湿害はリグニン合成やリグニン化を抑制していることも明らかになった。
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