2009 Fiscal Year Annual Research Report
塩・乾燥ストレス誘導によるナス科果実のアミノ酸蓄積経路と味覚制御解析
Project/Area Number |
19380022
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
湯淺 高志 Kyushu University, 農学研究院, 准教授 (40312269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 眞理 九州大学, 農学研究院, 教授 (60091394)
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Keywords | トマト / 塩ストレス / 熱ストレス / オリゴ糖 / ガラクチノール / 活性酸素 / CIPK / キナーゼ |
Research Abstract |
トマト養液栽培で希釈海水や高濃度Ca^<2+>により果実糖度を向上する方法が広く用いられている.植物は環境ストレス耐性獲得において,タンパク質リン酸化やカルシウムが重要な役割を果たしていることが知られている.植物の代表的なリン酸化酵素であるSNF1ホモログ(SnRK)は栄養代謝で働くSnRK1とSnRK2のように乾燥・塩ストレス・ABAに関わるSnRK2,カルシニューリンB様分子CBLと結合するSnRK3/CIPKの3つのサブファミリーに分れる.乾燥/塩ストレスに応答するSnRK2Cのトマトホモログ(SlSnRK2C)をトマトからクローニングを行い、特異抗体を作成し生化学的諸性質を解析した.SlSnRK2Cは若い果実特異的に発現し,塩・低温で活性化することを示した.一方,SnRK3に属するCBL結合キナーゼ(CIPK)のうちSlCIPK2がトマトの葯で強く発現するというユニークな点を明らかにした.一方,SOS3/CBL4が塩ストレスで発現上昇することを示した.SlCIPK2やCBL分子を高発現する品種を選抜することで,環境ストレスにともなうトマトの花粉不稔などを改善できる可能性が示唆された.塩ストレスシグナルで調節を受ける適合溶質合成酵素としてガラクチノール合成酵素に着目してた.そこでシロイヌナズナGolSと高い相同性を示すトマトEST配列情報を元に,その全長cDNA(SlGolS2)をクローニングし,発現調節と機能について解析した.塩ストレスにより非ABA経路を介してSlGolS2が発現誘導されることから,浸透圧シグナルカスケードのうちSnRK2もしくはSnRK3/CIPKなどのストレス活性化キナーゼがSlGolS2の発現誘導に働く可能性が考えられる.
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