2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロモウイルス感染シロイヌナズナにおける全身壊疽病徴発現の制御機構の解明
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19380027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三瀬 和之 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (90209776)
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Keywords | 植物ウイルス / シロイヌナズナ / ブロモウイルス / 病徴 / クローニング / 突然変異体 / シグナル伝達 / 抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、ブロモウイルスのSBLVがシロイヌナズナのアクセッションS96に誘導する全身壊疽病徴の発現制御の分子機構を解明することを目的としている。A)このような病徴発現に関与するSSB1遺伝子座のファインマッピングを進め、約100kb程度まで絞り込めた。この領域に有力候補遺伝子のR gene様遺伝子が存在していた。また、S96のFosmidゲノミックライブラリーを作製し、当該遺伝子座を挟む最も近いマーカー配列を含むFosmidクローンを順次単離し、Contigを作製し、同定した遺伝子の存在を確認した。B)S96にEMS処理を施し、その自殖次世代植物をスクリーニングし、SBLV感染時に弱い病徴を示す変異体植物を6ライン取得した。また、これらのS96変異体の原因遺伝子座をポジショナルクローニングによって同定する際に交配相手として利用するため、S96と同様にSSB1遺伝子座を持つFr-2とS96との間で多型を示すマーカーを各染色体に整備した。C)これまでに、NPR1非依存的なサリチル酸の経路が病徴発現を正に、また、エチレンシグナル系が病徴発現を負に制御していることが示唆されている。本年度は、サリチル酸合成欠損変異体やジャスモン酸経路に欠損を持つ変異体とS96との交配体を作製し、それらの経路の病徴発現への影響を見るための準備を完了した。D)ブロモウイルスの一種であるMYFVはS96に無病徴で全身感染する。今後、SBLVとMYFVを組み合わせて利用することで病徴発現に関与するウイルス因子の同定を試みるため、まずMYFVの遺伝子操作系を確立した。さらにSBLVとMYFVの間でin vitro転写物を利用した「ゲノム交換変異体」や「遺伝子置換体」を調製し、S96に接種し、感染性や病徴発現を調べた結果、4個のウイルス遺伝子の中で外被タンパク質は決定因子でないことが示唆された。
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