2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブロモウイルス感染シロイヌナズナにおける全身壊疽病徴発現の制御機構の解明
Project/Area Number |
19380027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三瀬 和之 Kyoto University, 大学院・農学研究科, 准教授 (90209776)
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Keywords | 植物ウイルス / シロイヌナズナ / プロモウイルス / 病徴 / クローニング / 突然変異体 / シグナル伝達 / 抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、ブロモウイルスのSBLVがシロイヌナズナのS96に誘導する全身壊疽病徴の発現制御機構の解明を目指している。前年度までの研究で、このような病徴発現に関与する2個の隣接するR gene様遺伝子SSB1AとSSB1BをS96からクローニングできた。本年度は、これら2個の遺伝子の発現・構造・機能解析およびそれらに認識されるウイルス因子の同定に向けた解析を行った。1.SBLV感染に対して無病徴感染や全身壊疽病徴を発現するCol-0やS96以外のLer, Fr-2等数種エコタイプについてゲノム配列、cDNA配列を決定し、病徴発現に関わるアミノ酸残基やドメインの推定を行った。2.S96由来のSSB1A, SSB1B遺伝子のcDNAにHAタグやMycタグ等を付加し、供試した。その結果、SSB1AとSSB1Bは互いに複合体を形成することが示唆された。また、SSB1A自身においても複合体が形成され、その相互作用はSSB1B存在下またはSBLV感染下において阻害されることから、この複合体の構造変化が細胞死誘導の要因の一っである可能性が示唆された。核に移行する活性が機能発現に重要であるかどうかを検証するため、核排出シグナルを付加したコンストラクトを供試した結果、SSB1Aでは影響が見られなかったものの、SSB1Bでは細胞死誘導が軽減されることが明らかとなった。3.プロモーター領域と転写領域をS96とCol-0の間で置換したキメラコンストラクトをSSB1AとSSB1Bの双方で作製した。現在、それらコンストラクトを導入した形質転換植物を作製中である。4.壊死病徴に関わるウイルス因子を同定するため、SBLVの遺伝子産物である1a、2a、3a、CPにHAタグを付加した後、誘導型プロモーターの制御下に置いたコンストラクトを作製し、形質転換植物を複数ライン得ることに成功した。
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