2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の分子パターン認識と植物免疫機構の解明
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19380029
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
久保 康之 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 教授 (80183797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正之 石川県立大学, 生物資源工学研究所, 准教授 (00320911)
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Keywords | 植物免疫 / 分子パターン / 防御応答 / 基本的抵抗 / 炭疽病菌 / いもち病菌 / RNAi / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
植物病原糸状菌では感染性に関与する分子パターン変異株はこれまで得られていなかった。本研究ではウリ類炭疸病菌、イネいもち病菌の病原性欠損変異株(ssd1変異株)を用い、植物による病原糸状菌の分子認識パターンと防御応答に関する研究を行い、植物病害に対する基本的抵抗性機構の解明を行った。 病原体の細胞表層分子パターンの機能解析 (1)病原菌の細胞壁の生化学的分析:イネいもち病菌およびウリ類炭疸病菌の細胞壁成分のエリシター活性を評価するため野生型株とssd1変異株の可溶性グルカンの抽出と分画を行った。 (2)病原菌の細胞壁のエリシター活性の評価:イネいもち病菌およびウリ類炭疸病菌のssd1変異株の細胞表層構造が野生型に比して高いMAPキナーゼ活性誘導能を持つことを免疫キナーゼアッセイ法により明らかにした。 植物の受容体・シグナル伝達系解析 (1)RNAi実験によるベンサミアナタバコの病害応答に関与する遺伝子の同定:ベンサミアナタバコーウリ類炭疸病菌系でSIPKとWIPKのキナーゼが抵抗性誘導に関与することをRNAi実験から明らかにした。 (2)RNAi実験によるオオムギの病害応答に関与する遺伝子の評価:ベンサミアナタバコーウリ類炭疸病菌系で得られた結果に基づき、オオムギのMAPキナーゼ系遺伝子を選択し、そのノックダウン植物がssd1変異株に対して病原性の低下を示すことを明らかにした。これにより、防御応答シグナル伝達系の共通性を示唆した。
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