2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAバーコードと形態画像を統合した寄生蜂の網羅的情報集積・同定システムの構築
Project/Area Number |
19380036
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前藤 薫 神戸大学, 農学研究科, 教授 (80346238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 一芸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 近畿中国四国農業研究センター・総合的害虫管理研究チーム, 特命チーム員 (10355133)
小西 和彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (90414747)
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (60343795)
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Keywords | DNAバーコード / 寄生蜂 / 生物的防除 / 天敵昆虫 / COI / 分類 / 同定 |
Research Abstract |
天敵生物の探索と生態系における動態解明は、総合的害虫管理(IPM)を展開するための基盤であるが、天敵のなかでも寄生蜂類は微小であるうえに多数の未記載種を含み、専門家であっても同定は困難である。また、形態に基づく伝統的な分類同定システムでは未成熟個体や組織片による同定はほぼ不可能であった。種レベルの変異をもつ遺伝子領域の部分配列を利用して標本の同定と登録、情報集積を行うDNAバーコーディングは、こうした現状を打開する切り札として期待されている。本課題では、寄生蜂のDNAバーコーディングと形態画像情報をリンクして、広く一般に利用できる分類・同定・情報集積システム構築のための基礎研究を行う。22年度は、野菜のハモグリバエ科害虫の天敵寄生蜂類についてDNAバーコードを解析し、近縁・類似種の識別同定に有効であることを明らかにして、その成果を日本昆虫学会(9月)において発表した。また、微小な寄生蜂から非破壊的にDNAを抽出する手法について、ツヤコバチ科の寄生蜂Encarsis formosaを材料とした抽出実験を行い、Chelex液に一昼夜虫体を浸漬する方法によって、虫体の形態的特徴を損なうことなく十分量のDNAを抽出することに成功した。さらに、複雑な種内構造もつ寄生蜂の系統識別モデルを検討するため、両・単性系統が混在するコマユバチ科寄生蜂Meteorus pulchricornisについてマイクロサテライトマーカーを開発した。なお、本年度は、日本昆虫学会(9月)において公開シンポジウム「必要な人にとどけたい昆虫の生物多様性情報」を企画し、DNAバーコードを含む昆虫多様性情報システムの構築と普及について議論を深めた。
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Research Products
(9 results)