2007 Fiscal Year Annual Research Report
侵入害虫クリタマバチと天敵寄生蜂の導入が土着寄主・寄生蜂相に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
19380037
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
守屋 成一 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・総合的害虫管理研究チーム, 上席研究員 (70370509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 礎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・果樹害虫研究チーム, チーム長 (40355392)
津田 みどり 国立大学法人九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (20294910)
屋良 佳緒利 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物多様性研究領域, 主任研究員 (70354123)
阿部 芳久 国立大学法人九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (50222675)
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Keywords | 国際研究者交流 / イタリア:アメリカ合衆国:韓国 / チュウゴクオナガコバチ / クリタマバチ / 侵入害虫 / 生物学的防除 / 導入天敵 / 土着寄生蜂 |
Research Abstract |
1クリタマバチ分布拡大と土着寄生蜂群の日欧比較 (1)イタリア・トリノ大学との共同研究により、イタリアに侵入したクリタマバチの2007年現在の分布状況を明らかにするとともに、隣接するスロベニア・フランスへの分布拡大を確認した。日本産チュウゴクオナガコバチ老熟幼虫が内部で越冬している乾枯虫えいをイタリアへ直接送付し、イタリアでの成虫羽化状況を調査した。 (2)茨城県内各地のクリタマバチ乾枯虫えいを採集し、チュウゴクオナガコバチの寄生率の年次変動に関するデータを蓄積した。また、秋期にクリタマバチの虫えい形成の状況(被害芽率)の定点調査を行い、つくば市におけるこれまでの調査結果との比較から、クリタマバチの密度が局部的に上昇傾向にあることを明らかにした。 (3)イタリアの気候条件下でのチュウゴクオナガコバチ羽化消長とクリタマバチ虫えい形成状況を観察した結果、イタリアにおいても両者の間に同調性が保たれていることが判明し、チュウゴクオナガコバチの定着・増殖に関する問題点の一つが解決された。 2クリタマバチ-寄生者複合体の成立過程の解析 (1)つくば市周辺のチュウゴクオナガコバチおよび土着寄生蜂群の羽化消長を前年度以前より継続的に調査し、チュウゴクオナガコバチ放飼地点近傍では、依然としてチュウゴクオナガコバチが圧倒的な優占種となっていることを確認した。 (2)チュウゴクオナガコバチ・近縁土着種クリマモリオナガコバチ早期・晩期羽化型を識別できるDNAマーカーを開発し、野外における個体数変動において、クリマモリオナガコバチ早期型からチュウゴクオナガコバチへの置き換わりを遺伝的に実証するとともに、晩期型からチュウゴクオナガコバチへの置き換わりが示された。 (3)対馬の土着チュウゴクオナガコバチ集団の遺伝的特性の解明を目的として雌成虫の遺伝子解析を行った結果、チュウゴクオナガコバチ対馬集団は韓国集団と遺伝的に一致することが判明した。
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