2009 Fiscal Year Annual Research Report
トノサマバッタの相変異の生理生態学的研究:群生相を作る
Project/Area Number |
19380039
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
田中 誠二 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 上級研究員 (50370664)
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Keywords | トノサマバッタ / 相変異 / 大発生 / 高密度 / 昆虫 |
Research Abstract |
トノサマバッタは、個体群密度の変化に反応して相変異を示し、形態や行動形質を変化させる。典型的な孤独相から群生相への変化には、数世代かかると考えられている。その仕組みを明らかにするために、トノサマバッタの幼虫と成虫を様々な条件で飼育し、形態や行動への影響を詳しく調べた。また、比較のために、同様に相変異を示すサバクトビバッタでも実験を行った。サバクトビバッタでは、親世代の密度が、子(孵化幼虫)の体サイズを決定し、それが直接成虫時の形態との高い相関を示すことがわかった。成虫の形態(後腿節長/頭幅の比)に関する限り、相の変化は2世代で完了した。一方トノサマバッタでは、親世代の密度が影響する子の1齢期(孵化幼虫)の体サイズと、その世代が成虫になった時の相に依存的な形態との間には、高い相関が見られなかった。トノサマバッタの1齢幼虫の歩行活動レベルをアクトグラフで調べた結果、親の成虫期の密度によって、孵化直後の活動に違いが見られた。孵化後2日間を単独または集団で飼育すると、活動レベルは集団で飼育した場合の方が高く、特に親世代も集団条件にさらされた群生相幼虫の活動レベルが高かった。同様に相変異を示すサバクトビバッタとの比較研究により、二種の間には顕著な違いが存在することが判明した。これらの結果から、バッタにおける相に依存した形態的、行動的形質は、親と子世代の混み合いが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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