2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐伯 和利 Kyushu University, 生物環境調節センター, 准教授 (30284780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 信一郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (60108678)
境 雅夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20225775)
國頭 恭 信州大学, 理学部, 准教授 (90304659)
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Keywords | DNA / 吸着 / 土壌粒子 / 黒ボク土 / 酸化物 / pH影響 / イオン強度 |
Research Abstract |
黒ボク土へのDNA吸着に対する溶液pH,イオン強度,共存溶質の影響を調べた.pHが高くなるほど吸着されたDNA量が減少しDNA吸着は溶液によって大きく影響されることがわかった.バックグラウンド塩としてNaClを用いた場合,イオン濃度範囲(0.01~0.5molL^<-1>)では,pH一定(6.8~7.0)の条件で,黒ボク土へのDNA吸着割合は一定であった.この条件では,DNA吸着はイオン強度に影響されないと判断できた.土壌のDNA吸着能力は,粘土含量,酸化物含量に左右されることは予測の範囲内であるが,交換性陽イオンまたは土壌溶液中陽イオンのイオン種組成によっても影響を受けるかもしれない.黒ボク土への,DNA吸着量と平衡濃度との関係はLangmuir式に有意に当てはまった.この吸着等温線は,L型またはH型であった.DNA分子と土壌粒子との間で強い吸着相互作用が働いて,DNA分子が土壌粒子表面で単分子層になっていると考えられた.細胞外naked DNA分子の土壌粒子への吸着機構・様式を3つ想定した.1つ目は,土壌粒子上のDNA吸着反応で,DNA分子末端のリン酸基が土壌粒子の鉄・アルミニウム酸化物のOH官能基に結合する機構である.2つ目は,陽イオンが架橋として使用される,腐植物質を含めた土壌粒子外表面上での吸着形態である.3つ目は,有機物同士の結合ないし凝集沈着である.これまでの研究を総合すれば,鉱物がDNA分子の主要な吸着サイトであることはもちろんであるが,腐植物質もDNA吸着サイトとして十分に働いていると結論づけられる,酸性領域以外で,腐植物質は全体として負に強く帯電しているので,腐植物質へのDNA吸着のメカニズムは,陽イオンを架橋として使用する負電荷粒子表面上での吸着形態が重要であろう.
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Research Products
(4 results)