2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ蛋白質を選別し膜局在化を司るシステムの分子メカニズム
Project/Area Number |
19380046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳田 元 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (40125943)
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Keywords | リポ蛋白質 / 選別シグナル / 大腸菌 / 分子シャペロン / ABCトランスポーター |
Research Abstract |
大腸菌に存在する外膜特異的リポ蛋白質は、少なくとも80種類以上であり、一方内膜にとどまるリポ蛋白質は約10種である。これらの選別は5種類のLol因子からなる機構が司っている。外膜リポ蛋白質の中で最も多いLppは、一個の大腸菌細胞あたり約106分子存在する。しかし、これを輸送するLol因子は300〜400分子存在するに過ぎない。内膜から外膜へのリポ蛋白質輸送が効率よく行われている機構を、輸送中間体であるリポ蛋白質を結合したLol因子を用いて解析し、以下の反応機序を明らかにした。(1)内膜のABCトランスポーターLolCDE複合体にリポ蛋白質が結合すると、ATPに対する親和性が上昇する。(2)ATPの結合と分解は、それぞれLolCDEの構造変化を引き起こし、リポ蛋白質との親和性が低下する。(3)ATPの加水分解エネルギーにより、LolCDEからLolAにリポ蛋白質が受け渡される。(4)リポ蛋白質の結合に伴い、LolAの疎水性キャビティは開く。 また今回の研究で、蛍光物質bis-ANSが疎水性キャビティの開閉をモニターするのに適していることを明らかにした。 LolAは生育に必須である。疎水性キャビティの開閉をS-S結合によって制御できるLolA変異体を発現すると、大腸菌の生育は還元剤要求性となった。また、酸化型のLolA変異体は、ストレス応答系を強く活性化することを見いだした。さらに、長さの異なる架橋剤を用いてCys間を化学架橋することにより、疎水性キャビティが十分大きく開くことがLolAの機能に必須であることを証明した。
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Research Products
(5 results)