2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境細菌の生態学的振舞の最初期過程に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
19380049
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 純一 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90231258)
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Keywords | 走化性 / 生態学的振舞 / 運動性細菌 / Pseudomonas / 生物相互作用 / 走化性センサー |
Research Abstract |
Pseudomonas aeruginosaの植物関連物質に対する走化性応答を調べたところ、植物ホルモンであるエチレン、ジカルボン酸であるリンゴ酸、クエン酸に走化性応答を示すことを見いだした。P.aeruginosaの走化性センサー遺伝子破壊株ライブラリーをスクリーニングした結果、エチレンの走化性センサーとしてTlpQ、リンゴ酸の走化性センサーとしてTlpRを特定した。データベースに対して相同性検索を行ったところ、植物成長を促進するPseudomonas fluorescens及びPseudomonas putida、植物病原菌であるPseudomonas syringaeがTlpQのホモログを有していることが分かった。それら細菌株のエチレンに対する応答を調べたところ、いずれの細菌株もエチレンに対して誘引応答を示すことが分かった。今後、エチレン走化性が植物との相互作用にどのような役割を果たしているのか調べてみたい。 トリクロロエチレン(TCE)分解菌P.putida F1はトルエン存在下で培養するとTCEに対する正の走化性を示すことが知られている。しかし、その走化性センサーはまだ特定されていない。そこで、定量的RT-PCRを用いてF1株が持つ走化性センサー遺伝子の中でトルエン曝露で転写が誘導されるものを選択した。選択された6遺伝子をそれぞれクローニングしP.aeruginosaに導入した。得られた形質転換株のTCE走化性を調べた結果、Pput4894がTCE走化性センサーであることが分かった。F1株の遺伝子破壊株を用いた解析もその結果を支持した。
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