2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復促進タンパク質のDNA鎖切断部位への結合様式の解明
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19380054
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鳴海 一成 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90343920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 良太 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (30391246)
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Keywords | 放射線 / 遺伝子 / 微生物 / タンパク質 / DNA修復 |
Research Abstract |
野生型PprAタンパク質の高分解能結晶が得られない原因は、PprAタンパク質同士が高次会合体を形成し、高濃度条件下で粘性を持つことと関係していると考えられた。そこで、高次会合せずに2量体を形成するPprA変異タンパク質W183Rを用いて結晶化を進めた。その結果、1.35Aの分解能を持つ結晶が得られた。結晶化に用いたタンパク質を分析したところ、部分消化されていることが分かった。そこで次に、位相を決定するために、セレノメチオニン含有培地で発現させたW183Rタンパク質を新たに精製し、リジルエンドペプチダーゼで部分消化したものを用いて結晶を作製した。これを用いて、2.2Aの回折データを取得し、単波長異常散乱法による位相決定を行うことで、結晶構造解析に成功した。さらに、2.2Aの構造をモデルとした分子置換法によって1.35Aの結晶構造解析にも成功した。これにより、PprAタンパク質の全アミノ酸284個のうち、最高で83.8%のアミノ酸について原子分解能での立体構造が明らかになった。分子表面に正の電荷を持つアミノ酸が集中している領域があり、これがDNAとの結合面であると推定された。また、野生型PprAタンパク質を用いたX線小角散乱実験を行い、PprAタンパク質が高濃度溶液中で繊維状構造をとり、繊維断面の慣性半径が27.9A、繊維軸方向の単位長が30.8Aであることを明らかにした。以上の様に、PprAタンパク質とDNAの結合様式について重要な知見を得ることが出来た。放射線応答ネットワーク機構関連では、PprAタンパク質の放射線照射後の誘導を制御している新規因子PprMを同定し、その制御機構を明らかにした。また、放射線抵抗性細菌で利用可能な汎用性の高いプラスミドベクターを開発した。さらに、デイノコッカス属の新種を2種発見し、放射線抵抗性細菌研究の新たな遺伝子資源を獲得した。
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Research Products
(16 results)