2007 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリ腸内の原生生物と細胞共生細菌の代謝共生機構の解明
Project/Area Number |
19380055
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大熊 盛也 The Institute of Physical and Chemical Research, 環境分子生物学研究室, 副主任研究員 (10270597)
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Keywords | 共生 / シロアリ / バイオマス資源 / ヒドロゲナーゼ / 細胞内共生細菌 / 原生生物 / 水素 / 難培養微生物 |
Research Abstract |
シロアリ腸内に高密度で生息する原生生物(単細胞の真核生物)と腸内細菌の大半を占める原生生物の細胞共生細菌は、腸内全体の代謝のほとんどを担うと考えられ、これらの細胞レベルでの共生機構を解明し、シロアリ共生微生物群によるバイオマス資源の効率的な利用について理解することを目的とする。細胞共生細菌は、新門を含む新規種で原生生物属ごとに異なる細菌グループであるが、難培養であり、培養を介さないゲノムレベルでの解析と代謝生理能を検討して、共生機構の解明を試みる。イエシロアリ腸内の原生生物、特にPseudotrichonympha grassiiから鉄型ヒドロゲナーゼ遺伝子を同定して異種発現酵素を解析し、高い水素生成能を確認したので、細胞共生細菌の水素利用能の検討を行った。P.grassma胞を濃縮してそのヒドロゲナーゼが局在する細胞内小器官ヒドロゲノソームと細胞内共生細菌(Bacteroidales目細菌)を微小に分画して水素生成・取込みの両ヒドロゲナーゼ活性を測定した。ヒドロゲナーゼ画分では高い水素生成活性が認められたが、細菌画分からは高い取込み活性が検出され、原生生物が生成した水素を効率的に細胞内共生細菌が利用して原生生物のセルロース分解を促進する共生関係と推定した。この細胞内共生細菌は宿主のシロアリならびに原生生物と階層をもった3者の関係において互いに共種分化をしてきたものであることも見出した。原生生物に共生するものとして、Bacteroidales目の髭状の細胞表層共生細菌、宿主原生生物の運動に関与するSynergistes門の共生細菌、数多くの原生生物種の細胞内に共生する新規門Termite Group 1細菌も同定した。この新規門細胞内共生細菌については1細胞の原生生物から共生細菌のゲノム完全解読も行って現在機能を推定している。
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Research Products
(7 results)