2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインレセプターによる情報伝達の分子メカニズムの解明とバイオプローブの創製
Project/Area Number |
19380057
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
片岡 孝夫 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (20242307)
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Keywords | シグナル伝達 / 生理活性 / 免疫学 / 薬理学 |
Research Abstract |
ペペロミア属植物より単離したペペロミンA(peperomin A)、ペペロミンB、ペペロミンE、並びにペペロミンBより合成したジデヒドロペペロミンBの4種類のペペロミン誘導体を用いて、ヒト肺がん腫A549細胞における炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1)による細胞接着因子ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)の細胞表面の発現誘導に対する影響を検討した。α-メチレン-γ-ラクトン構造を有するペペロミンEおよびジデヒドロペペロミンBはTNF-αおよびIL-1によるICAM-1の発現を抑制したが、α-メチル-γ-ラクトン構造を有するペペロミンAおよびペペロミンBには抑制効果が観察されなかった。したがって、α-メチレン-γ-ラクトン構造がペペロミン誘導体の阻害活性に必須であることが示唆された。さらに、ペペロミンEは、TNF-αによって誘導されるIκBαのリン酸化とそれに続く分解、ならびにIκBキナーゼの活性化を阻害した。一方、ペペロミンEは、IκBキナーゼβの酵素活性を直接的に阻害しなかった。以上の結果から、ペペロミンEはIκBキナーゼの活性化の上流を阻害していることが示唆された。 グラミシジンA(gramicidin A)は、直鎖状ペンタデカペプチドであり、一価カチオンを選択的に輸送するチャネル形成型イオノフォアである。グラミシジンAが、ブタ大脳皮質、もしくはブタ腎より精製されたNa^+/K^+-ATPaseのATPase活性を直接的に阻害すること、並びにその阻害様式が混合阻害であることを見出した。N末端のホルミル化およびC末端のエタノールアミンを欠いたグラミシジンAアナログでは、Na^+/K^+-ATPaseに対する阻害活性が弱かったことから、これらの末端修飾がNa^+/K^+-ATPaseの阻害活性に重要であることが示唆された。また、グラミシジンAは、A549細胞において、細胞生存率には影響しない濃度で、TNF-αやIL-1によるICAM-1の発現を抑制した。
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Research Products
(10 results)