2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨大化した微生物を用いたイオンチャネルの機能解析系の構築と輸送体の機能同定
Project/Area Number |
19380058
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
魚住 信之 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (40223515)
|
Keywords | チャネル / カリウム / 酵母 / pH / ポリアミン / 膜電位 / たばこ / 液胞 |
Research Abstract |
巨大化酵母の液胞膜輸送系のパッチクランプによる機能解析を行うために、酵母液胞膜に内在するバックグランド電流YVC1遺伝子変異株を作成後、それを用いてたばこから遺伝子を単離したKチャネル遺伝子の機能を測定した。K選択性の高いチャネルであることが分かった。細胞質内を酸性化すると(pH5.5)、中性の状態と比較して顕著に活性化されることが分かった。またこのチャネルのC末端領域にはCa結合領域が存在しており、pH6.5において電流はCaによって2倍程度活性化することが分かった。ポリアミン感受性についても検討した。スペルミジンとスペルミンでKチャネル電流抑制を受けることが分かった。たばこのポリアミン含量を調べたところ、スペルミジンの濃度がスペルミンやプトレッシンよりも高いことが分かり、何らかの制御を受けている可能性があると考えられた。液胞膜を用いたチャネル測定系の有効性が示された。 原核生物には膜電位センサーが存在しているが、その作動は動物や植物のチャネルとは異なることが報告されている。一方、それに反する報告もある。そこで、微生物のKチャネルと並行して動物のKチャネルの膜電位センサーの形成機構を明らかにした。膜電位センサーは電荷のあるアミノ酸で構成されていることから、通常の膜組み込みとは異なり、2つの膜貫通領域が相互作用をして組み込まれることが明らかになった。これは疎水性が低い植物由来のKチャネルのそれと同じ傾向を示している。今回の動物のチャネルの結果は、微生物のチャネルと疎水度の点で同様の傾向にあることから、同じ方式の組み込み様式を示す可能性が高いことが示唆された。
|