2007 Fiscal Year Annual Research Report
プログラム細胞死である過敏感反応の植物免疫における役割とその誘導機構
Project/Area Number |
19380067
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
蔡 晃植 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (00263442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 綾 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 講師 (50410965)
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Keywords | 植物免疫 / イネ / フラジェリン / 過敏感細胞死 / 植物病原菌 / エリシター / 細胞間情報伝達 / タンパク質リン酸化 |
Research Abstract |
植物免疫反応の中で過敏感反応は、非親和性菌感染時に認められ、菌の感染部位周辺に局所的に認められる細胞死である。これまでに我々は、この細胞死を誘導する中心的因子として植物独自の転写因子であるOsNAC4を同定した。本年度の研究で、OsNAC4のRNAiノックダウン変異体を作製し、この転写因子の下流で制御されている141個の遺伝子を同定することが出来た。これらの中で、OsHENと名付けたヌクレアーゼをコードする遺伝子は過敏感細胞死誘導時の核DNAの断片化に関与していることを新たに開発した一過的細胞内発現系を用いて明らかにすることが出来た。さらに、OsHSP90をコードしている遺伝子は、過敏感細胞死における細胞膜の透過性喪失に関与することを示した。この結果は、過敏感細胞死に伴って認められるいくつかの特徴的な変化が、異なる遺伝子によって個別に制御されているということを示している。また、過敏感細胞死誘導時にOsNAC4が細胞質から核に特異的に移行することを明らかにすると同時に、この核移行にOsNAC4自身のリン酸化が必要であることを示した。このリン酸化には、Ca^<2+>が必須であることから、OsNAC4のリン酸化には植物独自のリン酸化酵素であるCDPKが関与する可能性が示された。そこで、イネに存在する様々なCDPKとOsNAC4との相互作用をBiFCを用いて解析したところ、この中の一つのCDPKと特異的に相互作用することを見いだした。これは、OsNAC4がCDPKの直接的な基質になっていることを示しており、不明な点が多いCDPKの基質に関する新たな知見を与えるものである。また、過敏感細胞死を引き起こす植物病原菌のHrp遺伝子領域近傍に新たなエフェクター分子をコードする遺伝子が存在することを大規模ゲノム解析により見いだした。
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Research Products
(10 results)