2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ポリフェノール類による脳内老化抑制機構の解明
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19380073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大澤 俊彦 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (00115536)
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Keywords | 酸化ストレス / アルツハイマー症 / パーキンソン症 / ドパミン / ドコサヘキサエン酸 / アラキドン酸 / セサミノールカテコール / Aβタンパク質 |
Research Abstract |
脳内老化発現機構に重要な役割を果たす酸化ストレスは、脳内に大量に存在するドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸(ARA)などの多価不飽和脂肪酸を対象に種々の脂質ヒドロペルオキシドを生じる。特に、ARA過酸化物修飾ドパミンは、パーキンソン病の重要なバイオマーカーになるとともに、ドパミン神経細胞に対してアポトーシスを誘導し、この作用がパーキンソン病発症の新しいメカニズムであることを明らかにした。また、脳内に最も大量に存在するDHAも、酸化ストレスの結果生じたDHAヒドロペルオキシドが神経細胞死を誘導することを明らかにできた。さらに、過剰な炎症反応により生じたハロゲン化修飾タンパク質は糖尿病の合併症である生活習慣病のバイオマーカーになりうることを見出し、また、アルツハイマー症の原因とも考えられるハロゲン化修飾Aβタンパク質の化学構造の解明を進めることができた。また、DHAヒドロペルオキシド修飾リジンを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製に成功したので、LC/MS/MS分析と共に、免疫化学的な解析を進め、アルツハイマー症患者の脳髄液中に大量に存在することを明らかにすることができた。さらに、これらの酸化修飾物に特異的なモノクローナル抗体を搭載した「抗体チップ」の作製の基盤的研究を行った。また、本年度は、抗酸化ポリフェノール、特に、ゴマリグナンの生体内代謝物として研究を進めているセサミノールカテコールがブレインバリアー通過の可能性を示唆するデータも得られたので、今後、細胞から個体レベル、最終的には、ヒト臨床レベルでの解明を中心に研究を進める予定である。
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Research Products
(7 results)