2008 Fiscal Year Annual Research Report
食事性フラボノイドの代謝変換と酸化ストレス制御機能相関
Project/Area Number |
19380075
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40294681)
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50380027)
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Keywords | フラボノイド / 酸化ストレス / ケルセチン / 血管内皮細胞 / 動脈硬化 / 神経細胞 / アミロイドβ / ルテオリン |
Research Abstract |
本研究は抗酸化フラボノイドであるケルセチン、ルテオリン、エピカテキンを対象としてその代謝変換と生体内酸化ストレス制御機構との関係を明らかにするものである。当該年度は血管内皮細胞により誘導される血漿リポタンパク(LDL)の酸化変性に対するケルセチンおよびその代謝産物の抑制活性を評価した。ケルセチンおよびその3-グルクロン酸抱合体代謝物(Q3GA)は強い抑制活性を示したが、3位がメチル化されたイソラムネチンは抑制しなかった。また、腸内細菌による分解代謝産物では3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸に強い抑制活性がみられた。これらの結果から、抑制活性に脂溶性は影響しないが、カテコール構造が必要であることが明らかになった。一方、マウス神経芽細胞腫Neuro2Aを用いた場合には、ケルセチンおよびQ3GAともにアミロイドβによる細胞死抑制はみられなかった。一方、ケルセチンはNeuro2Aに対して細胞毒性を示したが、Q3GAには毒性作用はなかった。ルテオリンの場合にはその毒性作用はケルセチンに比べて弱い傾向がみられた。また、ケルセチンは短時間で細胞内に取り込まれるが、Q3GAの取り込み速度は遅く、24時間で最大に達したが、その量は少なかった。以上の結果からケルセチンの抱合体化反応は細胞への取り込みを低下させるが、ケルセチンの毒性を抑えて効果的に酸化ストレス抑制活性を発揮させる経路であると推測された。とくに、ケルセチンの3位への抱合体化はその抗酸化活性を維持するとともに毒性作用を直接減少させる意義があると思われた。
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