2009 Fiscal Year Annual Research Report
食事性フラボノイドの代謝変換と酸化ストレス制御機能相関
Project/Area Number |
19380075
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 佳恵子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイサイエンス研究部, 助教 (40294681)
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイサイエンス研究部, 助教 (50380027)
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Keywords | フラボノイド / 酸化ストレス / ケルセチン / 血管内皮細胞 / 動脈硬化 / 神経細胞 / パーキンソン病 / セロトニン |
Research Abstract |
本研究は抗酸化フラボノイドであるケルセチン、ルテオリン、エピカテキンを対象としてその代謝変換と生体内酸化ストレス制御機構との関係を明らかにするものである。当該年度はヒト血中の主要代謝産物であるquercetin-3-glucuronide(Q3GA)の作用部位に関する検討を行った。血管内皮細胞試験において、血漿アルブミンに結合したQ3GAは容易に遊離し、その一部は内皮下に透過することを明らかにした。アグリコンは遊離せず、したがって、透過されないことから血流中のケルセチンが内皮下で作用するためには抱合体代謝物として存在する必要があることが確認された。一方、マウス神経芽細胞腫Neuro 2Aに酸化ストレス誘導物質である6-ヒドロキシドーパミンを作用させると細胞死が惹起する。アグリコンは細胞死を抑制したが、Q3GAは細胞死を抑制しなかった。したがって、神経細胞死を抑えるためにはアグリコンであることが必要と思われた。中枢神経系におけるマクロファージ様細胞であるミクログリア細胞ではQ3GAの脱抱合によるアグリコンの生成が確認されたことから、昨年度報告した内皮下でのストレス負荷によるケルセチン代謝物の脱抱合活性化の機序が中枢神経系でも起こる可能性が示された。さらに、ケルセチンをマウス脳に7日間経口摂取させると確実にケルセチン代謝物の脳内蓄積がみられることを確認した。連続的な強制水泳試験によりマウスにストレスを負荷すると、脳ミトコンドリア画分のMAO-A活性が上昇するとともに脳内酸化ストレスも亢進することを明らかにした。脳内蓄積したケルセチン代謝物は精神ストレスに由来する酸化ストレスを抑えるともに、一部はより活性の強いアグリコンに変換することにより効果的に抗ストレス作用を発揮すると考えられた。
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