2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380084
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梶 光一 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70436674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮 雅美 北海道環境科学研究センター, 自然環境部, 部長 (60442604)
鈴木 正嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90216440)
高橋 裕史 独立行政法人森林総合研究所, 生物多様性グループ, 主任研究員 (60399780)
齊藤 隆 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学研究センター, 教授 (00183814)
|
Keywords | エゾシカ / 爆発的増加 / 個体群動態 / 餌資源制限 |
Research Abstract |
冬期のシカの餌として重要なササが枯渇し、低質な餌(落葉)に依存しながら、高密度状態が維持されている洞爺湖中島と、ササが利用可能で、爆発的増加と群の崩壊が繰り返されている知床岬において、エゾシカ個体群の爆発的増加と崩壊現象を解明するために、個体数のモニタリング、群れカウント(中島のみ)、生息地評価のためのプロット設定、採餌植物の栄養分析、捕獲個体調査(知床岬のみ)を実施した。 【洞爺湖中島】 2006〜2007年冬期は暖冬で積雪が少なく雪解けが早かったために、自然死亡個体は生じなかった。落葉のみ依存していても、冬期気象が穏やかであれば個体数は維持されることが示唆された。個体数は2007年3月に154頭、2008年3月に246頭を数え、1.6倍の観察値となり、センサスの精度に問題はあるものの個体数増加が明らかになった。 中島の中央草原における草本と落葉の栄養分析を行い、中島の草原の生産量は低いものの、栄養価は高いこと、落葉のタンパク含有量は低いものの、カロリーが高いことなどが明らかになった。 【知床岬】 知床岬においても、暖冬であったため、自然死亡が生じなかった。洞爺湖中島の結果とあわせ、冬期の気象状況が自然死亡に大きく影響することが明らかになった。イネ科草本とササ群落に移動ケージならびに固定プロットを設定し、餌植物の質量の評価を行った。夏季の草本現存量は極めて高いので、個体数制限要因とはなっていない。知床世界自然遺産地域のシカ管理計画に基づき、知床岬のシカの個体数調整が進行中であり、捕獲個体を対象に妊娠率調査と胃内容物などの試料の採集を行った。
|
Research Products
(9 results)