2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミズナラのフェノロジーに関与する遺伝子の適応的変異の探索
Project/Area Number |
19380089
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
原田 光 Ehime University, 農学部, 教授 (40150396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10270919)
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Keywords | ミズナラ / フェノロジー / フィトクローム遺伝子 / 環境適応 / 産地試験 / 発芽 / 開葉 |
Research Abstract |
ミズナラは日本の冷温帯広葉樹林を代表する樹種で、日本列島の南北に広く分布している。我々はこれまでに葉緑体のDNA変異にもとづいて中央構造線を堺に遺伝的組成が東北部と南西部で大きく分かれることを明らかにしてきた。これらはそれぞれ寒冷な気候と温暖な気候に適応して分化したと見られるため、異なる気候や光環境への適応をフェノロジーの違いとして検出し、さらに遺伝子レベルでこれを明らかにすることを目的に研究を行った。フェノロジーに関しては北海道、東北、山陰、九州でミズナラ種子を採集し、実生を育てて愛媛大学演習林および北大札幌試験地に植栽して生育経過を観察中である。一方で、光環境に応答してフェノロジーを調節するフィトクローム遺伝子に注目し、これをミズナラでクローニングすることを試みた。この結果、ミズナラにはPHYA,PHYB/D,PHYEの3つの遺伝子が存在することが明らかになった。それぞれについて塩基配列を36%まで決定し、これを南北集団からサンプリングしたものについて比較したところ、北方集団(稚内)で南方(椎葉)より多くの変異が見られること、および1か所の非同義置換(アミノ酸変異)があることが分かった。現在これらについて集団遺伝学的解析を進めており、これが適応的な変異であるのかどうかをフィトクローム遺伝子全長のシーケンスを決定するとともに、サンプル数を増やして明らかにしてゆく。
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Research Products
(6 results)