2007 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクルパルプを配合した紙保存資料の劣化評価とその改質処理
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19380098
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡山 隆之 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70134799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 肇 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50176921)
園田 直子 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (50236155)
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Keywords | パルプ・紙 / 廃棄物再資源化 / 保存科学 / 劣化度 / 長寿命化 / 熱分解分析法 / 加速劣化処理 / リサイクル |
Research Abstract |
本年度は、以下の2点について重点的に検討を行った。 (1)リサイクル化学パルプ配合紙の劣化挙動及び劣化機構の解明 漂白処理の異なるリサイクルパルプ繊維シートについて、4種の加熱加速劣化試験、キセノンランプを用いた加速光劣化試験を実施し、劣化挙動を検討した。本検討の中で、リサイクル処理を施したECF漂白パルプが、いずれの加速劣化条件においても白色度の低下が抑制されることが判明した。さらに、80℃、65%r.h.の湿熱加速劣化条件及び105℃でガラス管に紙試験片を密封した加速劣化条件で紙の白色度低下が大きく、加熱加速劣化処理では紙中水分が紙の光学的特性の変化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 (2)リサイクル機械パルプ配合紙の光劣化挙動及び蛍光増白剤混入の影響 リサイクルパルプとして市販紙に配合される場合には、新聞古紙、ちらし古紙、雑誌古紙、模造・色上古紙が多く用いられるが、模造・色上古紙を除いて、いずれも機械パルプの混入が認められる。機械パルプの欠点の一つである光による黄色化を検証するために、機械パルプ配合紙の光劣化特性に及ぼすリサイクル処理の影響を試験した。 さらに、古紙の中に含まれる蛍光増白剤が光劣化特性に及ぼす影響を検討した。その結果、リサイクル機械パルプ繊維シートの光劣化速度は、フレッシュパルプの場合に比べて遅くなることが明らかになった。また、蛍光増白剤を含む機械パルプ繊維シートは、無添加に比べて加速光劣化試験による白色度低下が小さかったが、光劣化処理によって蛍光強度が低下した。
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