2008 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクルパルプを配合した紙保存資料の劣化評価とその改質処理
Project/Area Number |
19380098
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡山 隆之 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70134799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 肇 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50176921)
園田 直子 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (50236155)
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Keywords | パルプ・紙 / 廃棄物再資源化 / 保存科学 / 劣化度 / 長寿命化 / 熱分解分析法 / 加速劣化処理 / リサイクル |
Research Abstract |
本年度明らかになった主な研究成果を、以下に示す。 (1)リサイクルパルプ配合紙の劣化挙動及び劣化機構の解明 再生コピー用紙の保存性を評価することを目的として、最近、ISO 5630-5として規格化されたASTM法を従来の加速劣化試験法と比較しながら、紙の劣化挙動を測定した。加速熱処理を進めると、紙の引張強さには古紙パルプ配合の有無による違いがなくなっていた。また、加速熱処理による紙の引張強さの低下にはパルプの単繊維強さの低下が強く反映していることが明らかになった。 (2)リサイクルパルプ配合紙に適応する紙の劣化測定法の開発 脆弱化した紙資料の劣化度を図書館などの保存現場で簡便に測定するために、荷重制御装置を装着したアコースティック・エミッション(AE)法による紙の劣化度測定装置を開発した。ASTM法による加速劣化試験法は、AE法のリングダウン数のピーク時間の出現が早くすることが確認され、紙の劣化評価試験として広く用いられてきた耐折強さ試験と同様の傾向を示すことが判明した。 (3)リサイクルパルプ配合紙の劣化防止法の開発 ペーパースプリットマシンプロトタイプを用いてスプリットした再生コピー用紙に芯紙を挿入して紙強化処理を施した。その結果、本装置による紙の強化処理が、種々の紙に適用できることを確認した。さらに、強化処理後の劣化挙動を評価するために、加速劣化処理に伴う紙の強度及び光学特性の変化を測定したところ、それぞれの劣化前の物理的性質を大幅に向上させることが可能となり、結果として劣化による低下が抑制されることを確認した。
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Research Products
(17 results)