2009 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌が産生する疎水性分子代謝制御因子の構造機能・生合成系解析
Project/Area Number |
19380100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 与一 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70252517)
渡邊 崇人 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (30362403)
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Keywords | バイオサーファクタント / 白色腐朽菌 / リグニン / バイオマス / 脂質過酸化 / 代謝物 |
Research Abstract |
本研究は、リグニン分解性担子菌である白色腐朽菌が産生する水と疎水性分子の界面を活性化する鍵代謝物を同定して、その疎水性代謝物可溶化機構やリグニン分解の促進機能、生合成系を明らかにすることによって、白色腐朽菌によるリグニン分解能強化のための新しい分子基盤を構築することを目的とする。これまでに、セルロースを残してリグニンを高選択的に分解する木材腐朽性担子菌Ceriporiopsis subvermisporaの産生する両親媒性代謝物の構造解析と機能解析を行い、本菌が新規なバイオサーファクタントを産生することを明らかにした。平成21年度は、C. subvermisporaがβ-1, 6とβ-1, 2の分岐をもつ粘質性β-1, 3グルカンであるシースを産生する条件下でバイオサーファクタントなど両親媒性物質を産生する培養系を検討し、リグニン分解を伴いながらシースやバイオサーファクタントが産生される培養条件を見出した。また、リグニン分解の選択性を変化させる因子を見い出だし、その培養系を用いてバイオサーファクタントやその他の代謝物の産生と木材腐朽(リグニン、セルロース、ヘミセルロースの分解)の関係を詳細に分析した。その結果、リグニン分解の選択性が高い培養条件で産生される両親媒性代謝物を明らかにした。また、LCMS-IT-TOFやNMRを用いて両親媒性物質の構造解析を行い、側鎖が酸化された代謝物の誘導体を見い出した。C. subvermisporaが産生するこの代謝物の同定のため、安定同位体を用いた精密構造解析を行った。その結果、これまでに報告例のない新規な代謝物の構造を明らかにし、菌体外の酸化反応が両親媒性代謝物の側鎖を酸化する可能性を初めて明らかにした。また、新規代謝物の生合成に関与する遺伝子の同定を試みた。
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