2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマニュピレーション・直接PCR法を用いたDNA分析による木材の樹種識別
Project/Area Number |
19380103
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
安部 久 Forestry and Forest Products Research Institute, 木材特性研究領域, 主任研究員 (80343812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和正 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 室長 (50353909)
渡辺 宇外 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70337707)
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Keywords | 木材 / 樹種識別 / DNA / 細胞 / オルガネラ |
Research Abstract |
本年度は(1)市販のDNA抽出キットを用いて木材からDNAを抽出し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による増幅が可能かどうかを検討した。伐採直後のスギ木材からはDNAが効率よく抽出できたが、1983年に伐採された木材の抽出液からは電気泳動や紫外線吸光測定でDNAを検出できなかった。しかし、葉緑体遺伝子を増幅できるプライマーを用いてPCRを行ったところ、電気泳動によってどちらの抽出液からもDNAの増幅が確認でき、DNA分析による樹種の識別が可能であると判断された。(2)木材細胞内でのDNA残存部位を解析する条件を確立するため、伐採年の異なるスギの木材標本を親水性の樹脂で包埋し、薄切片を作製した後、DAPIで染色し顕微鏡で観察した。伐採直後の木材では、辺材中のDNAは軸方向柔細胞、放射柔細胞の核、アミロプラスト等に局在していた。1983年に伐採された木材においても、同様に柔細胞の核、アミロプラストにDNAが局在する様子が確認できた。一方、1966年に伐採された木材では、柔細胞中の核やアミロプラスト等オルガネラの明確な構造が確認できなかったが、柔細胞内にDAPIで染色される物質が観察された。これらの結果は、顕微鏡によって木材細胞中のDNAの局在部位が可視化できること、及び従来の方法ではDNAが抽出できない木材中にもDNAが残存しうることを示している。今年度得られた成果は、木材中のDNAを効率よく取り出して、増幅し、解析することによって樹種の識別を行う技術の開発の基礎となる。この成果を用いて、次年度以降、木材、特に古い材のDNA分析による効率的な樹種識別に取り組む。
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Research Products
(1 results)